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ホーム > 研究紹介 > イベント > 1996~2010年イベント・セミナー一覧 > 平成20年度公開講演会のお知らせ

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平成20年度公開講演会のお知らせ

来たる10月20日、京都市アバンティホールにて平成20年度公開講演会を行います。これは、私どもの研究所における研究成果を広く一般の方々に知っていただくための催しで、毎年行っているものです。森林の保全・管理などに係わっている方や、動植物に興味のある方をはじめ、どなたでもお気軽にご参加下さい。また、この講演会は一昨年度まで「研究発表会」として開催していたものです。(予約不要、入場無料)

 

テ ー マ

「森の土の不思議な世界」

プログラム

(挨  拶)

森林総合研究所関西支所長藤井智之

(はじめに)

土が森を創り、森が土を創る

森林環境研究グループ長溝口岳男

森の土。それは私たちの視線が届かない暗黒の世界であり、私たちは普段その存在を意識することはありません。しかし、土がなければ森林は成り立つことができません。土は森林に住む生物が生きる上で必要とする様々な物質を取り込み、蓄え、変換し、供給する工場であるとともに、それを担う莫大な生き物たちの居留地でもあるからです。一見静かで不変のものに見える森の土の世界は、実は地上の世界と同様にたくさんの物質が動き、生物の活気にあふれ、そして変化し続けるものなのです。この講演会では、土の中の物質の動きと、土に棲み森を支える様々な生き物の姿と作用の一端を紹介いたします。森を支える「隠れた半身」としての土の世界の重要性を知っていただければ幸いです。

(講  演)

土の中を動くモノ、留まるモノ

主任研究員(森林環境研究グループ)谷川東子

大気から森に入る物質(モノ)、岩石が風化して遊離した物質は、森をかけめぐって大気や河川に放出されるものもあれば、土の中に留まるものもあります。土は、動植物とは比較にならないほど、物質-栄養分など-を多く長く、蓄えておくことができます。この機能があるから、土は生命を育むことが可能なのだといえるでしょう。ここでは、土はどうやって物質を捕えるのか?物質を捕える能力が高い土はどんな土か?土が物質を吸収したり排出したりする機能は周囲の環境にどのような影響を与えるのか?について、解説いたします。

森を支える根っこたち

主任研究員(森林環境研究グループ)平野恭弘

森の土にその姿を隠す根っこたちの生活は、あまり良く知られていません。土の中の根は、掘り起こされないとその姿を見ることができないため、簡単に観察することのできる葉などに比べて、なかなか研究調査も進んでいません。

  • 根の深さや広がりがどれくらいあるかご存知ですか?
  • 根も温暖化防止や災害防止に役立っているのをご存知ですか?
  • 根がとてもアクティブに動いているのをご存知ですか

この講演では、これまであまり日の当たらなかった根っこたちがもたらしてくれる貴重な役割の数々について、その最新の調べ方とともにご紹介します。

土と根をつなぐ生きもの

森林環境研究グループ長溝口岳男

森の土の中にはカビ、キノコ、細菌をはじめとするたくさんの微生物が棲んでいます。肉眼ではなかなか見えないそれらの小さな日陰者は、自らの生命活動を通して森の中の物質の循環や生き物の間の競争・利害関係に深く関わっており、森の営みにおいてそのサイズに似合わない大きな役割を果たしています。今回はそうした微生物の中から、植物の根と土をつなぐすばらしい仲介者を紹介いたします。彼らの名は菌根菌(きんこんきん)。植物の根に入り込んで一体となり、根との間で養分交換を行うことができる彼らは、植物と蜜月の関係を築くように進化してきたため他の微生物とは一風異なる性質を持っています。また、どのような森にも当たり前のように居て、植物が養分を得る上での重要なパートナーでありながら、一般にはほとんどその存在を知られていません。この講演では菌根菌の正体とその働きを解説するとともに、植物との関係が深いがゆえに生じる菌根菌の御家事情をヒノキ林での研究事例からご紹介したいと思います。

 あなたの足下に数千匹-小さな小さな動物たち-

森林総合研究所企画部主任研究員(木曽試験地)長谷川元洋

森の土の中には、人知れずたくさんの動物たちが暮らしています。ミミズ、ダンゴムシ、ムカデなどはよく目につきますが、1mmにも満たないトビムシやダニなどは1mmに数万匹も生息しており、これにもっと小さな原生生物や線虫などを加えると、森の土の中では動物がひしめき合っているということになります。土の中に棲む動物は、土壌動物と呼ばれ、きわめて小さな面積に多様な種を持つ集まり(群集)を形作ります。彼らは微生物と共同で落葉や枝などを分解し、含まれている養分を土に戻して再び植物が吸収できるようにする大事な働きを持っています。このような森の土に住む動物たちに、樹木の伐採、人工林化、外来種の侵入などが作用するとどのようなことがおこるのでしょうか?この講演では、森に棲む土壌動物を紹介し、本州、沖縄、小笠原、ボルネオなどの研究の例をあげて、森林の変化に対応したこれらの小さな動物たちの変化について解説します。

<温室効果ガス排出削減のため、公共交通機関によるご来場にご協力願います。>

 

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