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森林総合研究所関西支所年報第54号

平成25年版

左写真:琵琶湖畔に咲くコブシの花、右写真:コナラの葉から放出されるイソプレン量を測定する自動葉群チャンバー

まえがき

平成24年度は森林総合研究所第3期中期計画期間の2年目にあたる。第3期中期計画では9つの重点課題が設定され、なかでもA「地域に対応した多様な森林管理技術の開発」、ならびにB「国産材安定供給のための新たな素材生産技術及び林業経営システムの開発」の2つの重点課題が森林・林業の再生に向けた政策を支える研究として明確に提示された。これに伴い、関西支所では近畿・中国地域の現状に対応した林業課題として、一般研究費による実行課題「A122優良壮齢人工林へ誘導するための施業要件の解明と立地・社会環境要因の評価(H23~25)」、また、里山課題として交付金プロジェクト「A2P03現代版里山維持システム構築のための実践的研究(H21~25)」ならびに実行課題「G211里山地域における森林の総合管理のための機能評価(H23~25)」を実施してきた。平成25年度からは3年間の計画で本所と共同で交付金プロジェクト「A1P04本州少雪地における実生コンテナ苗による低コスト再造林技術の開発」を開始し、近畿・中国森林管理局森林技術・支援センター(岡山県新見市)と協働して「ヒノキコンテナ苗の成長解析と通年植栽条件の解明」ならびに「ヒノキ造林地のシカ害評価及び対処技術の開発」に取り組み始めた。これらに加えて、農林水産技術会議委託プロジェクトなどの多くの研究課題に参画するとともに、平成24年度は関西支所研究職員が主査として7課題の科学研究費助成事業も実施した。
一方、支所の見える化ということで、研究課題の実施に加えて産学官連携、地域連携への取り組みを強化した。国立大学法人三重大学生物資源学研究科との連携大学院では支所の研究職員3名が連携教員として共生環境学専攻自然環境システム学講座を開設し、講義をおこなうとともに、大学院生の受け入れを開始した。また、京都府立莵道高校が申請したJST(科学技術振興機構)の支援によるSPP(サイエンスパートナーシッププログラム)が前年度に引き続き採択され、森林生態研究グループが主体となって講義、実習を実施した。大阪市立大学理学部附属植物園とはナラ枯れ研究会を共催した。この他、近畿中国森林管理局の「水都おおさか森林の市」、近隣の中学生を対象とした「チャレンジ体験学習」、森の展示館を活用した「森林教室」などを実施した。平成24年11月20日には公開講演会「意外にたくましい?人工林の脇役たち」を龍谷大学アバンティ響都ホールにおいて開催した。
今後も関西支所では近畿中国地方における森林・林業に関するさまざまな問題の解決に向け、研究技術開発に取り組むとともに、その成果の広報と社会還元・普及に精力的に取り組んでまいりますので、一層のご支援とご協力をお願いいたします。

 

平成25年11月

森林総合研究所関西支所長 吉永秀一郎

目次

1.平成24年度研究課題一覧(PDF:245KB)

  1. 森林総合研究所関西支所関係抜粋

2.関西支所における研究課題の取り組み(PDF:164KB)

3.平成24年度関西支所の研究概要(PDF:597KB)

  1. 健全な物質循環維持のための診断指標の開発
  2. 優良壮齢人工林へ誘導するための施業要件の解明と立地・社会環境要因の評価
  3. 現代版里山維持システム構築のための実践的研究
  4. 多様な森林機能の評価・配置手法の開発
  5. 天然更新を利用した多様な森林タイプへの誘導技術の検証と高度化
  6. 伐出見積もりシステムを活用した施業集約化手法の開発
  7. 木材利用拡大に向けた林業振興のための条件と推進方策の解明
  8. 限界集落における持続可能な森林管理のあり方についての研究
  9. 私有林経営における組織イノベーションに関する国際比較研究
  10. 未利用木質バイオマスを用いた炭素貯留野菜によるCO2削減社会スキームの提案と評価
  11. 葉のオゾン吸収量に基づいた樹木に対するオゾンの影響評価に関する研究
  12. 森林及び林業分野における温暖化緩和技術の開発
  13. 地球温暖化が日本を含む東アジアの自然植生に及ぼす影響の定量的評価
  14. センサーネットワーク化と自動解析化による陸域生態系の炭素循環変動把握の精緻化に関する研究
  15. タワー観測を用いた群落炭素収支機能等を表すパラメータセットの構築と評価
  16. コナラ林内と周辺域におけるインプレン放出量と拡散過程の評価
  17. 安定同位体パルスラベリングを用いた樹木内炭素循環速度の樹種間比較
  18. 間伐促進のための低負荷型作業路開設技術と影響評価手法の開発
  19. 地球温暖化が森林及び林業分野に与える影響評価と適応技術の開発
  20. 高濃度に放射性セシウムで汚染された内水面魚類の汚染源・汚染経路の解明
  21. 高エネルギーX線吸収分光法を用いた土壌中イオウ化合物の形態とその分解抵抗性の解明
  22. 古生層堆積岩山地小流域における水流出特性解析
  23. 土壌中でエステル硫酸はアルミニウム腐植複合体に取り込まれるのか?
  24. 新たな「樹木根系の斜面補強機能の数値化技術」の開発
  25. 山地災害の被害軽減のための新たな予防・復旧技術の開発
  26. 土を掘らずに地中探査用レーダを用いて樹木根バイオマスを推定する方法の確立
  27. 地形・土壌・植生の発達・崩壊シミュレーション手法の開発
  28. ニホンジカが南アルプス国立公園の自然植生に及ぼす影響とその対策に関する研究
  29. 林業被害軽減のためのニホンジカ個体数管理技術の開発
  30. 支笏洞爺国立公園をモデルとした生態系保全のためのニホンジカ捕獲の技術開発
  31. 広葉樹資源の有効利用を目指したナラ枯れの低コスト防除技術の開発
  32. 生態情報を利用した環境低負荷型広域病虫害管理技術の開発
  33. 野生動物管理技術の高度化
  34. 長期的餌資源制限がニホンジカの生活史特性へ及ぼすフィードバック効果の解明
  35. シイ・カシ類の集団立ち枯れ被害に対する緊急対応策の策定
  36. 国内のカシナガキクイムシに見られる遺伝的系統の簡易判別法の開発
  37. 侵略的外来種ソウシチョウと在来生物群集の関係はシカ密度増加でどのように変化するか
  38. 養菌性キクイムシが媒介する樹木萎凋病の国際的なリスク評価に必要な基礎データの収集
  39. ナラ枯れの新害虫Platypus koryoensis とその共生圏の遺伝的・生態的解明
  40. 種特性に基づいた里山二次林の多様性管理技術の開発
  41. 生態系保全政策のための森林の生物多様性変動シミュレータの構築
  42. 里山地域における森林の総合管理のための機能評価
  43. 森林の生物多様性の質と機能の評価手法の開発
  44. トカラ列島における森林性鳥類の生物地理:渡瀬線を挟んだ島々での繁殖分布と集団構造
  45. 里山構成種の生理的可塑性と共存機構における林冠ギャップの機能評価
  46. エゾヤチネズミ個体群の遺伝的空間構造形成に関わる個体数変動と分散行動の効果
  47. 絶滅のおそれのあるツキノワグマ孤立個体群におけるMHC遺伝子の多様性評価
  48. 小笠原諸島固有菌類保全のための分類・生態学的研究-材生息菌を対象として
  49. サクラの系統保全と活用に関する研究
  50. 森林水文モニタリング
  51. 収穫試験地における森林成長データの収集

4.研究資料(PDF:376KB)

  1. 基盤事業:森林水文モニタリング-竜ノ口山森林理水試験地-
  2. 茗荷淵山(三重県熊野市)ヒノキ収穫試験地定期調査報告-三重県南部の温暖な地域におけるヒノキ林の成長について-

5.試験研究発表題名(PDF:403KB)

  1. 平成24年度試験研究発表題名一覧

6.組織・情報・その他(PDF:452KB)

  1. 沿革
  2. 土地及び施設
  3. 組織
  4. 受託出張
  5. 職員研修
  6. 受託研修生受入
  7. 海外派遣・出張
  8. 業務遂行に必要な免許の取得・技能講習等の受講
  9. 見学者
  10. 会議
  11. 諸行事
  12. 試験地一覧表
  13. 森の展示館(標本展示・学習館)

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