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ホーム > 研究紹介 > 刊行物 > 森林総合研究所関西支所年報第65号

更新日:2024年12月26日

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森林総合研究所関西支所年報第65号

令和6年版

まえがき

新型コロナ感染症は令和5年5月に法律上の位置づけが「5類感染症」に変更となり、行動の様々な制限は取り払われて、出張や対面での会合もコロナ前とほぼ同様にできるようになりました。しかし、夏は記録的な猛暑となり、7月には豪雨により関西・中国地方でも各地で被害が出て、さらに令和6年元旦には最大震度7を記録する能登半島地震が発生して斜面崩壊も多数発生するなど、自然の厳しさを忘れさせられない年でした。このような中でも、豊かで多様な森林の恵みを活かした循環型社会の形成のために、私たちは引き続き研究と地域連携に励んで参りました。

令和5年度は国立研究開発法人森林研究・整備機構の第5期中長期目標期間(令和3~7年度)の折り返しに当たる第3年度でした。当機構が同期間中に実施する中長期計画の中で設定した3つの重点課題のうち、関西支所では重点課題1「環境変動下での森林の多面的機能の発揮に向けた研究開発」または重点課題2「森林資源の活用による循環型社会の実現と山村振興に資する研究開発」の下に位置付けられる65研究課題を実施しています。これらの中には、当機構の全国のネットワークを活かして全国的に取り組む研究や、研究者としての専門性や関心に基づき研究所内外の研究者や行政・業界・市民などとも協力しながら掘り下げる研究、長期にわたり森林の多様な側面の動態をモニタリングする基盤研究など、様々なタイプの研究が含まれます。そして、それらの研究課題の多くが関西・中国地域をフィールドにしている一方で、他の地域や国外をフィールドとしたものもあります。様々なタイプ、様々なフィールドを経験することで、研究者としてまた研究所としての能力を高めてきています。

これらの課題の推進のために、そして研究成果を地域へ還元するため、地域との連携は私たちにとり不可欠です。関西支所公開講演会は私たちの研究成果を一般の方々に広く知っていただくために毎年開催しています。令和5年度には「広葉樹のすすめー広葉樹林を『お宝』として活かすためにー」と題して、これまであまり認められてこなかった広葉樹林の価値を評価する方法を提案し、未利用の広葉樹資源の活用について考えました。また、近畿中国森林管理局と「伐採と再造林の一貫作業システムによるコストの低減に関する現地検討会」を共催しました。さらに、国有林及び森林整備センター職員との交流会、学生・研修生の受け入れなどを実施しました。

そして、私たちの事を地域の皆様により広く知っていただくために、児童を対象とした「森林教室」、小学校の校外授業の樹木園や森の展示館への受け入れ、水都おおさか森林づくり・木づかい実行委員会「水都おおさか森林の市2023」などのイベントへの出展を積極的に行いました。さらに、関西支所の研究の一端を分かりやすくご紹介する動画に、新たに「タケのタネ 実生苗から竹になれた?」が加わり、公開講演会の講演動画と共にYouTube「森林総研チャンネル」に公開しました。是非ご覧ください。

関西支所はこれからも、近畿中国地方における森林・林業・木材産業に関する問題の解決と新たな提案に、研究開発を通じて取り組みます。そのために、そして研究開発の成果を社会に還元するために、研究協力や研究発表、技術指導、広報活動などを通じて地域連携を一層深めて参る所存です。皆様には引き続きご支援ご協力をよろしくお願いいたします。

令和6年12月

森林総合研究所関西支所長 鷹尾 元

目次

1. 令和5年度 研究課題一覧(PDF:261KB)

2. 関西支所における研究課題の取り組み(PDF:131KB)

3. 令和5年度 関西支所の研究概要(PDF:749KB)

  1. 1アa1 物質・エネルギーの動態モニタリングによる気候変動影響の評価と予測技術の開発
  2. 1アaPF31 森林土壌の炭素蓄積量報告のための情報整備
  3. 1アaPF40 「真の渦集積法」が明らかにする森林群落スケールのVOC放出能とその環境応答特性
  4. 1アaPF41 気候変動がもたらす生態系攪乱が森林の炭素吸収量に与える影響の長期広域観測とリスクマップの構築
  5. 1アaPF44 Measurement of the mycorrhizal hyphal turnover through soil imaging:Resolving the image analysis bottleneck with AI
  6. 1アaPF48 モウソウチク林の炭素吸収機能を最大化させる
  7. 1アaPS2 マイナスエミッションに向けた土壌メタン吸収の広域算定手法の開発
  8. 1アb1 マイナスエミッションに向けた土壌メタン吸収の広域算定手法の開発
  9. 1アbPF10 林業を対象とした気候変動影響予測と適応策の評価
  10. 1アbPF12 森林技術国際展開支援事業
  11. 1アbPF18特異的な遅延展葉フェノロジーを示す季節性熱帯樹種の適応戦略とその成立条件
  12. 1イa1 生態系からみた森林の生物多様性に関する研究の高度化
  13. 1イaPF14 増えるシカと減るカモシカは何が違うのか?最適採餌理論からの検証
  14. 1イaPF16 森林昆虫の多様性研究の新展開:駆動力としての昆虫関連微生物の存在意義の検証
  15. 1イaPF26 沖縄島北部の森林で生じた渡らない生活史は鳥類にどんな地域固有性をもたらしたか?
  16. 1イaPF27 森林景観内の樹木の多様性規定要因を解明する
  17. 1イaPF34 土壌動物の腸内微生物叢から森林の物質循環を読み解く
  18. 1イaPF40 線虫の生活様式多様化と種分化に関する統合的研究
  19. 1イc1 森林の生物多様性の保全と持続可能な利用に関する研究の高度化
  20. 1イcPF16 森林の生物多様性の分布形成機構の解明に基づく気候変動に適応的な保護区の提示
  21. 1イcPF36 極限環境に棲む線虫で切り拓く動物胎生化の適応的意義と進化プロセス研究
  22. 1イcPS2 林業収益と公益的機能のトレードオフ関係の全国解析―環境配慮型集約化の提案―
  23. 1ウa1 水循環・物質循環が関与する森林の機能の評価技術の開発
  24. 1ウaPF17 森林内における放射性物質実態把握調査事業
  25. 1ウaPF23 微生物を含めた環境トレーサーで古生層山地小流域における斜面地下水動態を探る
  26. 1ウaPF27 大気中のCO2濃度の上昇は森林からの蒸散量を増やすのか減らすのか?
  27. 1ウaPF30 付加体堆積岩山地における水文・地盤情報カップリングによる雨水貯留・排水特性の把握
  28. 1ウaPS2 放射能汚染地域の林業再生に関する技術開発
  29. 1ウb1 森林の山地・気象災害軽減技術の高度化
  30. 1ウbPF19 土層の生成から流出までの循環過程にもとづく新しい山地保全技術の開発
  31. 1ウk1 森林における降水と渓流水質のモニタリング
  32. 1ウk2 森林水文モニタリング
  33. 1ウk3 森林気象モニタリング
  34. 2アa1 造林・育林技術の実証とシーズ創出に向けた研究開発
  35. 2アaPF10 潜む”芽”と伸びる”枝”の成り立ちから探る樹木萌芽更新の実現可能性
  36. 2アaPF12 タケ類の大規模開花現象の全容解明に向けて
  37. 2アaPF14 日本全国の林地の林業採算性マトリクス評価技術の開発
  38. 2アaPF15 効果的な花粉発生源対策の実施に向けた調査及び普及
  39. 2アaTF1 スギ・ヒノキの着花習性の解明および着花評価技術の開発
  40. 2アc1 持続的な林業経営および森林空間利用のための評価・計画・管理技術の開発
  41. 2アcPF12 管理優先度の高い森林の抽出と管理技術の開発
  42. 2アcPF14 消えつつある草原コモンズを再生するための管理形態と社会システムの提示
  43. 2アcPF20 令和5年度森林情報の高度化推進に向けた手法検討に関する調査委託事業
  44. 2アcPS2 無関心層を取り込んだ森林空間利用促進のためのアウトリーチ手法の提案
  45. 2アcTF1 新たなリモートセンシング技術を用いた効率的な収穫調査と素材生産現場への活用方法の提案
  46. 2アd1 多様化する森林との関わりを支える社会経済的・政策的方策の提示
  47. 2アdPF3 アメリカにおける森林の多面的利用の制度的基盤の解明
  48. 2アdPF13 科学的林業の受容と変容に関する国際比較研究:現場森林官が持つ仕事観に着目して
  49. 2アdPS3 EBPM実現のための森林路網B/C評価ツールの開発と社会実装
  50. 2アk1 収穫試験地における森林成長データの収集
  51. 2イa1 樹木・林業病害の実効的制御技術の開発
  52. 2イa2 森林林業害虫の実効的防除技術の開発
  53. 2イa3 森林林業害獣の実効的防除技術の開発
  54. 2イaPF23 スズメバチ女王を飼い殺す新たに発見された寄生バチ:その生態と系統
  55. 2イaPF46 相次いで侵入した外来カミキリムシから日本の果樹と樹木を守る総合対策手法の確立
  56. 2イaPS10 種子・苗木病害の診断技術および防除法の高度化
  57. 2イaPS11 日本型システムアプローチの構築―外来種から森林・樹木を護り木材輸出時の環境負荷を軽減する―
  58. 2イbPF6 鉱山跡地の自生植物と土着微生物を利用した新しい緑化技術の構築
  59. 2イbPF14 着実な林地栽培に向けた菌根菌バカマツタケの有機物分解能と厚壁胞子形成能の有効性
  60. 2エaPF24 木の酒の社会実装に向けた製造プロセスの開発と山村地域での事業条件の検討

4. 研究資料(PDF:846KB)

  1. 基盤研究1ウk1:森林における降水と渓流水質のモニタリング
  2. 基盤研究1ウk2:森林水文モニタリング―竜ノ口山森林理水試験地における2023年の概要―
  3. 基盤研究2アk1:収穫試験地における森林成長データの収集

5. 試験研究発表題名(PDF:505KB)

6. 組織・情報・その他(PDF:437KB)

  1. 沿革
  2. 土地及び施設
  3. 組織
  4. 受託出張
  5. 職員研修
  6. 受託研修生受入
  7. 特別研究員
  8. 海外派遣・出張
  9. 業務遂行に必要な免許の取得・技能講習等の受講
  10. 森の展示館(標本展示・学習館)
  11. 会議
  12. その他の取組み
  13. 試験地一覧表

一括ファイル版(PDF:3,322KB)

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お問い合わせ

所属課室:関西支所地域連携推進室 

〒612-0855 京都府京都市伏見区桃山町永井久太郎68

電話番号:075-611-1201

FAX番号:075-611-1207

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