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年報第42号 研究資料

銀閣寺山国有林試験地の植物

伊東宏樹(造林研究室)

1. はじめに

近年、里山や都市近郊林に対して、身近な生物の生息場所などとしての評価が高まりつつある。しかしながら、このような林分は従来研究の対象となることが少なかったため、保全や利用のための基礎資料が不足しているのが現状である。その中でも、どのような植物が生息しているかということはもっとも基礎的なものといえるであろう。

本資料は、このような観点から、京都市東部の銀閣寺山国有林においてどのような植物が生息しているかをまとめたものである。

2.方法

調査は、銀閣寺山国有林(京都市左京区、京都大阪森林管理事務所管内)固定試験地において実施した。銀閣寺山国有林は銀閣寺の東側、大文字山(如意ヶ嶽)の西側斜面に位置する。国有林内に大文字山への登山道があり、ハイキングに訪れる人でにぎわっている。

本試験地は1992年に、同国有林北端の尾根から南斜面にかけて設置された。標高はおよそ150~225m、面積は1.05ha、母材は花崗岩である。胸高直径3cm以上の樹木を対象に、これまで1993、1996、1999の3回毎木調査をおこなっている。また、胸高直径3cm未満の樹木および草本については1992年に調査したほか、36ヶ所設置した実生調査区内において、樹木の実生を記録している。これらの記録から本試験地内において観察された維管束植物のリストを作成した。調査には筆者のほか、加茂皓一・井鷺裕司・隅田明洋・千葉幸弘の4名および京都大学の学生が加わった。

3.結果および考察

結果を表-1に示す。現在までに、50科111種の維管束植物が観察された。絶滅の恐れがあると指摘されているような種は特に確認されなかったが、およそ1haの面積で100種をこえる種が観察された。同国有林南部は母材がホルンフェルスであり、植生も北部の花崗岩を母材とする地域とは多少異なっている。このため、同国有林全体ではさらに多くの種が生息しているものと考えられる。

表-1 銀閣寺山国有林試験地で観察された維管束植物
和名 学名 最大胸高直径(cm) 資料
ヒカゲノカズラ科 トウゲシバ Lycopodium serratum Thunb.    
ゼンマイ科 ゼンマイ Osmunda japonica Thunb.    
キジノオシダ科 キジノオシダ Plagiogyria japonica Nakai    
ウラジロ科 コシダ Dicranopteris dihotoma (Thunb.) Bemh.    
ウラジロ Gleichenia japonica Spr.    
シシガシラ科 シシガシラ Struthiopteris niponica (Kunze) Nakai    
オシダ科 ベニシダ Dryopteris erythrosora (Eat.) O. Ktze.    
イヌガヤ科 イヌガヤ Cephalotaxus harringtonia (Knight) K. Koch    
マツ科 モミ Abies firma Sieb.et Zucc. 52.1  
アカマツ Pinus densiflora Sieb. et Zucc. 48.3  
スギ科 スギ Cryptomeria japonica (L. fil.) D. Don 45.2 P
ヒノキ科 ヒノキ Chamaecyparis obtusa (Sieb. et Zucc.) Endl. 33.7  
イネ科 ネザサ Pleiodlastus argenteostriatus (Regel) Nakai f. glaber (Makino) Murata    
ササクサ Lophatherm gracile Brongn.    
チヂミザサ Oplismenus undulatifolius (Arduino) Roemer et Schultes    
ススキ Miscanthus sinensis Anderss.    
ヤシ科 シュロ Trachycarpus fortunei (Hook) H.Wendl.    
ユリ科 オモト Rohdea japonica (Thunb.) Roth    
ヤブラン Liliope muscari Bailey   P, S
ナガバジャノヒゲ Ophiopogon japonicus (L. fil.) Ker-Gawler   S
サルトリイバラ Smilax china L.    
ヤマノイモ科 ヤマノイモ Dioscorea japonica Thunb.    
ラン科 コクラン Liparis nervosa (Thunb.) Lindl.    
サイハイラン Cremastra appendiculata (D.Don) Makino    
シュンラン Cymbidium goeringii Reichb. fil.   P
カバノキ科 イヌシデ Carpinus tschonoskii Maxim. 59.1 S
アカシデ C. laxiflora (Sieb. et Zucc.) Bl. 52.3 S
オオバヤシャブシ Alnus sieboldiana Matsumura 35.6 S
ヤシャブシ A. firma Sieb. et Zucc. 5.6 S
ブナ科 アラカシ Quercus glauca Thunb. 49.0 P
コナラ Q. serrata Murray 59.1 P
クヌギ Q. acutissima Carruthers 7.0  
クリ Castanea crenata Sieb. et Zucc. 15.1  
ツブラジイ Castanopsis cuspidata (Thunb.) Schottky 26.4  
ニレ科 ケヤキ Zelkova serrata (Thunb.) Makino    
エノキ Celtis sinensis Persoon   P
ムクノキ Aphananthe aspera (Thunb.) Planchon   P
ツヅラフジ科 アオツヅラフジ Cocculus orbiculatus (L.) DC.   P
アケビ科 ミツバアケビ Akebia trifoliata (Thunb.) Koidz.    
モクレン科 オガタマノキ Michelia compressa (Maxim.) Sargent 3.5  
シキミ科 シキミ Illicium anisatum L.    
マツブサ科 サネカズラ Kadsura japonica (Thunb.) Dunal    
クスノキ科 クスノキ Cinnamomum camphora (L.) Presl 17.3  
ヤブニッケイ C. japonicum Sieb. ex Nakai 6.1  
クロモジ Lindera umbellata Thunb.    
シロダモ Neolitsea sericea (Bl.) Koidz.    
ユキノシタ科 ノリウツギ Hydrangea paniculata Sieb.et Zucc.    
バラ科 フユイチゴ Rubus buergeri Miq.    
ナガバモミジイチゴ R. palmatus Thunb.    
ヤマザクラ Prunus jamasakura Sieb. et Zucc. 35.3  
リンボク P. spinulosa Sieb. et Zucc. 49.0  
ウワミズザクラ P. grayana Maxim. 26.7 S
カナメモチ Photinia glabra (Thunb.) Maxim. 29.4 P
ザイフリボク Amelanchier asiatica (Sieb. et Zucc.) Endlicher 7.7 S
カマツカ Pourthiaeae villosa (Thunb.) Dence. var.laevis (Thunb.) Stapf 3.5  
ウラジロノキ Sorbus japonica (Decne.) Hedlund 41.9  
マメ科 ネムノキ Albizia julibrissin Durazz. 30.7  
ノササゲ Dumasia truncata Sieb. et Zucc.    
クズ Pueraria lobata (Wild.) Ohwi    
フジ Wisteria floribunda (Willd.) DC. 17.4 P
ミカン科 カラスサンショウ Zanthoxylum ailanthoides Sieb. et Zucc. 42.6  
トウダイグサ科 アカメガシワ Mallotus japonicus (Thunb.) Muell. Arg. 28.0  
ウルシ科 ヤマハゼ Rhus sylvestris Sieb. et Zucc. 17.1 S
ヤマウルシ R. trichocarpa Miq. 10.2  
モチノキ科 アオハダ Ilex macropoda Miq. 47.3 P, S
タマミズキ I. micrococca Maxim. 43.4  
ナナミノキ I. chinensis Sims 35.8  
イヌツゲ I. crenata Thunb. 3.4  
ソヨゴ I. pedunculosa Miq. 39.8  
クロガネモチ I. rotunda Thunb. 28.3 S
ミツバウツギ科 ゴンズイ Euscaphis japonica (Thunb.) Kanitz 5.4 S
カエデ科 イロハモミジ Acer palmatum Thunb. 37.1 S
ウリカエデ A. crataegifolium Sieb.et Zucc. 6.1  
ブドウ科 ツタ Parthenocissus tricuspidata (Sieb.et Zucc.) Planch.   P
ツバキ科 ヤブツバキ Camellia japonica L. 11.9  
サカキ Cleyera japonica Thunb. 11.6  
ヒサカキ Eurya japonica Thunb. 6.8 P
イイギリ科 イイギリ Idesia polycarpa Maxim. 22.5  
グミ科 ツルグミ Elaeagnus glabra Thunb.    
  ナワシログミ E. pungens Thunb. 5.5 P
ウコギ科 タラノキ Aralia elata (Miq.) Seemann    
ヤツデ Fatsia japonica (Thunb.) Decne. et Planch.    
カクレミノ Dendropanax trifidus (Thunb.) Makino 30.8  
コシアブラ Acanthopanax sciadophilloides Franch. et Savat. 31.0 P
タカノツメ Evodiopanax innovans (Sieb. et Zucc.) Nakai 35.3 P
ミズキ科 アオキ Aucuba japonica Thunb. 3.6  
リョウブ科 リョウブ Clethra barvinervis Sieb. et Zucc. 24.9  
ツツジ科 ヤマツツジ Rhododendron obtusum (Lindl.) Planchon var. kaempferi (Planchon) Wilson    
  モチツツジ R. macrosepalum Maxim.    
  コバノミツバツツジ R. reticulatumD. Don 4.1  
  アセビ Pieris japonica (Thunb.) D. Don 6.8  
  ネジキ Lyonia ovalifolia (Wall.) Drude var.elliptica (Sieb. et Zucc.) Hand.-Mazz. 35.0  
  シャシャンボ Vaccinium bracteatum Thunb. 13.0  
  ウスノキ V. hirtum Thunb. var. pubescens (Koidz.) Yamazaki    
  スノキ V. smalliA. Gray    
  アクシバ V. japonicum Miq.    
ヤブコウジ科 ヤブコウジ Ardisia japonica (Thunb.) Blume    
カキノキ科 カキノキ Diospyros kaki Thunb. 23.1  
ハイノキ科 サワフタギ Symplocos chinensis (Lour.) Druce var. leucocarpa (Nakai) Ohwi f. pilosa (Nakai) Ohwi    
クロバイ S. prunifolia Sieb.etZucc. 33.6 P
エゴノキ科 エゴノキ Styrax japonica Sicb.et Zucc. 18.7 S
モクセイ科 ネズミモチ Ligustrum japonicum Thunb. 9.5 P
ヒイラギ Osmantus heterophyllus (G.Don) P. S. Green 4.9  
マルパアオダモ Fraxinus siebolidana Blume 21.4  
キョウチクトウ科 テイカカズラ Trachelospermum asiaticum (Sieb. et Zucc.)Nakai    
クマツヅラ科 ヤブムラサキ Callicarpa mollis Sieb. et Zucc.   S
クサギ Clerodendrum trichotomum Thunb.    
アカネ科 アリドオシ Damnacanthus indicus Gaertn. fi1.    
ツルアリドオシ Mitchella undulata Sieb. et Zucc.   S
スイカズラ科 コバノガマズミ Viburnum erosum Thunb.var. punctatum Franch. et Savat.    
  コツクバネウツギ Abelia serrata Sieb. et Zucc.   S

学名は大井(1953)、北村ほか(1957)、田川(1959)、北村・村田(1961)、北村ほか(1964)、北村・村田(1971)、北村・村田(1979)、佐竹ほか(1989a、1989b)を参考にした。

最大駒高直径は、3回の毎本調査で記録されたうちでもっとも大きな値を記載した。記載されていない種は、胸高直径3cm以上の個体がなかったか、草本である。資料の記号は次のとおり。
P:写真、S:標本

4. 参考文献

  • 北村四郎・村田源 (1961) 原色日本植物図鑑 草本編II. 390pp. 保育社, 大阪.
  • 北村四郎・村田源 (1971) 原色日本植物図鑑 木本編1. 453pp. 保育社, 大阪.
  • 北村四郎・村田源 (1979) 原色日本植物図鑑 木本編II. 545pp. 保育社, 大阪.
  • 北村四郎・村田源・堀勝 (1957) 原色日本植物図鑑 草本編1.297pp.保育社, 大阪.
  • 北村四郎・村田源・小山鐵夫 (1964) 原色日本植物図鑑草本編III. 465pp. 保育社, 大阪.
  • 大井次三郎 (1953) 日本植物誌. 1383pp. 至文堂, 東京.
  • 佐竹義輔・原寛・亘理俊次・冨成忠夫 (1989a) 日本の野生植物 木本I.321pp. 平凡社, 東京.
  • 佐竹義輔・原寛・亘理俊次・冨成忠夫 (1989b) 日本の野生植物 木本II. 305pp.平凡社, 東京.
  • 田川基二 (1959) 原色日本羊歯植物図鑑. 270pp. 保育社, 大阪.

スギ・ヒノキ高齢級人工林の成長経過
―高取山収穫試験地調査報告―

細田和男・田中亘・中島章文(経営研究室)

1. 試験地の概況

高取山スギ人工林皆伐用材林作業収穫試験地および同ヒノキ試験地は、人工林の間伐量および成長量を調査する目的で1935年9月に設定された。スギ試験地は3個分地、ヒノキ試験地は2個分地に分かれており調査区の面積はいずれも0.2ha、土壌型はBDである。スギ1分地とスギ2分地は、近畿中国森林管理局奈良森林管理事務所管内、奈良県高市郡大淀町高取山国有林49林班ほ小班に所在し、海抜高440~490m、斜面傾斜角25度の南向き斜面である。スギ3分地は同郡明日香村高取山国有林56林班ほ小班に所在し、海抜高390~430m、斜面傾斜角40度の南西向き斜面である。また、ヒノキ1分地とヒノキ2分地は同じく56林班ほ小班に所在し、海抜高370~420m、斜面傾斜角30~40度の北向き斜面である。試験地設定前の履歴は以下の通り。

  • スギ1,2分地:1921年3用新植(3800本/ha、翌年20%の補植)、下刈り計6回、つる切計9回(7~15年生)、除伐2回(11、12年生)
  • スギ3分地:1899年3用新植(6800本/ha、翌年20%の補植、翌々年2%の補植)、下刈り計9回、つる切(14年生)、枝打ち(16年生)、間伐2回(27年生、33年生)
  • ヒノキ1,2分地:1898年3用新植(5000本/ha、翌年50%の補植、翌々年3%の補植)、下刈り計6回、枝打ち(17年生)、間伐2回(28年生、34年生)

試験地設定後は5~10年間隔で定期調査を行うとともに、必要に応じて寺崎式B種に相当する下層間伐を施してきた。その間1979年台風20号によりスギ3分地とヒノキ1,2分地に、また1998年台風7号によりスギ1,2分地に被害が生じている。また、スギ1,2分地は1990年、酸性雨等森林被害モニタリング事業(林野庁、奈良県森林技術センター)の調査地点に指定されている。

前回調査より10年を経過したので、2000年10月10~12日および同年11月6~8日に第11回定期調査を行った。調査内容は、胸高直径・樹高・枝下高・寺崎式樹型級区分の全数調査である。

2. 調査結果と考察

第11回定期調査の結果を含む、本試験地の林分成長経過を表~1に掲げた。これを紀州地方スギ人工林林分収穫表(大阪営林局、1952)および同ヒノキ収穫表(大阪営林局、1951)と比較すると、およそ以下のような特徴があった。

スギ1,2分地の残存木(主林木)平均樹高は、70年生時を除いてはおおむね収穫表地位2等をやや上回る程度で推移している。1分地よりも2分地の方が樹高成長がやや良いが、これは2分地の方が斜面下方に位置しているため若干の地位の差が生じているためと考えられる。残存木本数は同地位の収穫表に比べ著しく多く、特に60年生以降は収穫表3等をも上回るほどである。しかしながら、平均直径は地位2等よりやや劣る程度で、結果的に残存木幹材積合計は収穫表2等の1.6倍を示している。過去の間伐木を含む幹材積総成長量は両分地ともおよそ1,100m3/haに達し、なお増加傾向にある。総平均成長量のピークは40年生で、収穫表よりも10年遅延して現れた。なお1998年台風7号による被害は優勢木の根倒れが多くを占め、その他幹折れ・根元割れ等の被害形態も若干数観察された。

スギ3分地の平均樹高、平均直径、本数および幹材積は収穫表1等と2等との間で推移している。しかし調査を開始したのが37年生であり、これ以前の間伐量が加算されていないため、総成長量は収穫表3等程度にとどまっている。

ヒノキ1,2分地の平均樹高は、収穫表地位2等と3等の中間に相当し、1分地の方がやや地位が高い。本数密度は60年生以降収穫表3等よりも過大に推移しているが、平均直径は1分地でほぼ収穫表3等相当、2分地で3等を多少下回る程度である。このため、残存木幹材積合計は、台風被害や間伐にもかかわらず収穫表1等を上回っている。スギ3分地と同様に調査開始以前の間伐量が加算されていないため、幹材積総成長量は収穫表3等を3割程度下回っていたが、80年生以降は収穫表3等の水準に回復している。

本試験地は、全国約220カ所の収穫試験地の中でも有数の高齢級林分であり、長伐期施業の貴重なモデル林分として、上層木を含む間伐を反復しつつ長期的にデータを収集する方針である。ただし、スギ3分地は台風害で林分構造が攪乱され、人工林収穫試験地として正常な資料が収集できなくなったため、第11回調査をもって試験を終了する。この他の試験区の次回の定期調査は2010年秋季を予定している。

 

表-1 高取山収穫試験地の林分成長経過
試験区 林齢 総林木 枯死木
平均直径 平均樹高 本数 断面積 幹材積合計 平均直径 平均樹高 本数 断面積合計 幹材積合計
(cm) (m) (m2) (m3) (cm) (m) (m2) (m3)
スギ1分地 15 10.6 9.7 3115 29.7 162.7          
20 14.0 11.7 2115 35.0 222.4          
26 17.2 14.5 1570 39.0 288.9 9.9 11.0 5 0.0 0.2
30 20.9 16.5 1095 39.2 316.7 15.2 13.9 25 0.5 3.6
35 23.3 18.3 1045 46.8 409.3 12.1 13.1 5 0.1 0.4
40 25.5 20.1 960 51.5 484.2          
45 27.6 21.4 870 54.5 538.1          
50 29.0 22.4 660 46.3 476.0 20.3 18.8 5 0.2 1.4
60 31.5 24.0 655 54.8 594.1 19.3 17.6 10 0.3 2.5
70 34.3 24.7 645 64.3 711.2 20.5 17.5 15 0.5 4.2
80 36.0 28.0 620 68.6 855.6 26.8 22.3 90 5.5 56.0
スギ2分地 15 12.3 10.5 2555 31.6 177.6          
20 16.4 13.9 1625 35.6 248.7          
26 19.9 15.8 1190 38.2 292.2          
30 23.0 17.4 885 37.8 311.3          
35 25.7 19.1 855 45.7 406.5          
40 27.3 21.7 815 49.4 493.4          
45 29.0 22.3 785 54.0 548.8          
50 30.1 23.1 640 47.6 497.2 21.6 19.9 5 0.2 1.7
60 32.6 24.4 635 55.9 611.6 19.8 19.3 5 0.2 1.4
70 35.1 24.9 630 65.1 718.8 27.0 20.2 25 1.5 13.0
80 36.8 27.9 585 67.5 835.2 26.3 23.0 35 1.9 20.2
スギ3分地 37 19.6 15.0 765 24.7 189.5          
42 21.7 16.2 765 30.3 245.1          
48 23.5 17.3 765 35.5 301.4          
52 27.3 19.3 580 35.6 322.1          
57 29.1 21.0 570 40.0 392.4          
62 31.0 21.3 555 44.1 431.4          
67 32.8 22.3 555 49.3 503.8          
72 33.3 22.5 455 42.2 434.0          
82 36.2 23.5 455 49.7 527.2 30.5 21.1 120 9.4 92.7
92 42.3 24.6 320 47.4 511.9 37.1 15.8 10 1.1 6.7
102 45.1 25.5 310 52.3 583.2 35.2 16.9 15 1.5 12.4
ヒノキ1分地 38 15.8 12.4 1310 26.4 174.7          
43 18.1 13.6 1100 29.2 211.3          
49 19.5 14.9 1100 33.9 263.3          
53 21.7 15.9 855 32.4 264.8          
58 23.0 16.7 850 36.2 310.8          
63 24.5 16.6 825 39.7 335.3          
68 25.8 18.3 825 44.1 408.0          
73 26.9 19.3 720 41.6 405.8          
83 29.3 20.7 720 49.6 514.4 26.3 21.5 35 1.9 20.4
93 32.1 21.5 675 55.8 594.5 19.8 18.5 5 0.2 1.5
103 35.0 22.2 560 55.0 598.4 33.4 21.7 10 0.9 9.2
ヒノキ2分地 38 13.9 11.3 1550 25.1 160.3          
43 16.1 11.9 1305 27.9 186.4          
49 17.2 13.5 1305 32.0 235.1          
53 19.1 14.6 1100 32.9 255.3          
58 20.2 15.4 1100 37.0 301.8 10.8 9.9 5 0.0 0.2
63 21.8 16.5 985 38.1 333.1          
68 23.0 17.1 980 42.1 379.3 25.1 18.1 15 0.8 7.4
73 24.4 18.1 780 37.6 351.8          
83 27.1 19.3 780 46.2 453.8 29.6 21.0 65 4.6 50.0
93 29.6 20.5 715 50.4 517.3          
103 33.1 21.5 560 49.4 522.0          
表-1 高取山収穫試験地の林分成長経過 (つづき)
試験区 林齢 間伐木 残存木
平均直径 平均樹高 本数 断面積 幹材積合計 平均直径 平均樹高 本数 断面積合計 幹材積合計
(cm) (m) (m2) (m3) (cm) (m) (m2) (m3)
スギ1分地 15 9.3 8.9 1000 7.3 37.9 11.2 10.0 2115 22.4 124.8
20 12.0 11.6 545 6.6 42.6 14.7 11.7 1570 28.4 179.7
26 13.7 13.3 470 7.3 51.5 18.8 15.0 1095 31.7 237.2
30 16.3 14.4 25 0.6 4.5 21.1 16.6 1045 38.2 308.6
35 17.8 17.2 80 2.0 17.2 23.8 18.4 960 44.7 391.7
40 18.8 18.1 90 2.6 23.1 26.2 20.3 870 48.9 461.1
45 25.5 20.8 210 11.0 106.0 28.2 21.7 660 43.5 432.0
50           29.1 22.4 655 46.1 474.5
60           31.7 24.1 645 54.5 591.7
70 28.5 23.3 10 0.7 6.8 34.7 24.9 620 63.2 700.2
80           37.5 28.9 530 63.1 799.6
スギ2分地 15 10.8 9.9 930 8,8 47,7 13.2 10.9 1625 22.8 130.0
20 14.8 13.4 435 7.7 52.8 17.0 14.1 1190 27.9 195.9
26 16.8 15.2 305 6.9 52.5 20.9 16.0 885 31.2 239.7
30 17.6 15.3 30 0.8 5.9 23.2 17.5 855 37.0 305.4
35 24.4 18.0 40 2.0 16.9 25.8 19.2 815 43.7 389.6
40 20.2 17.9 30 1.0 8.6 27.5 21.9 785 48.4 484.8
45 27.1 21.5 145 8.6 85.2 29.5 22.5 640 45.4 463.6
50           30.2 23.1 635 47.4 495.5
60           32.7 24.4 630 55.7 610.2
70 30.5 24.4 20 1.5 15.7 35.6 25.1 585 62.1 690.1
80           37.5 28.2 550 65.6 815.0
スギ3分地 37           19.6 15.0 765 24.7 189.5
42           21.7 16.2 765 30.3 245.1
48 18.0 14.7 185 5.1 39.6 25.2 18.2 580 30.3 261.8
52 25.5 18.7 10 0.5 4.4 27.3 19.3 570 35.1 317.8
57 21.4 16.6 15 0.7 6.3 29.4 21.1 555 39.4 386.1
62           31.0 21.3 555 44.1 431.4
67 32.5 22.3 100 8.4 83.3 32.8 22.3 455 40.9 420.4
72           33.3 22.5 455 42.2 434.0
82 30.6 15.7 15 1.1 7.6 38.5 24.8 320 39.2 426.9
92           42.5 24.9 310 46.3 505.2
102           45.6 26.0 295 50.8 570.8
ヒノキ1分地 38 13.2 11.6 210 3.0 19.0 16.3 12.5 1100 23.5 155.7
43           18.1 13.6 1100 29.2 211.3
49 16.9 14.3 245 5.6 43.1 20.3 15.0 855 28.2 220.1
53 24.5 16.9 5 0.2 2.0 21.7 15.8 850 32.2 262.8
58 17.0 13.3 25 0.6 3.9 23.2 16.8 825 35.7 306.9
63           24.5 16.6 825 39.7 335.3
68 22.9 16.5 105 4.4 37.0 26.2 18.5 720 39.7 371.0
73           26.9 19.3 720 41.6 405.8
83 28.7 20.5 10 0.6 6.6 29.5 20.7 675 47.1 487.5
93 28.8 20.5 110 7.3 74.3 32.8 21.7 560 48.4 518.8
103           35.0 22.2 550 54.1 589.2
ヒノキ2分地 38 10.9 9.6 245 2.4 13.5 14.4 11.6 1305 22.6 146.8
43           16.1 11.9 1305 27.9 186.4
49 13.1 11.8 205 2.9 20.1 17.9 13.8 1100 29.0 215.0
53           19.1 14.6 1100 32.9 255.3
58 15.0 12.9 110 2.0 13.4 20.9 15.7 985 35.0 288.1
63 17.1 12.9 5 0.1 0.8 21.8 16.5 980 38.0 332.3
68 19.8 15.4 185 5.8 46.9 23.7 17.5 780 35.5 325.1
73           24.4 18.1 780 37.6 351.8
83           26.8 19.1 715 41.5 403.8
93 25.8 19.3 155 8.3 81.5 30.6 20.9 560 42.1 435.8
103           33.1 21.5 560 49.4 522.0

 

表-1 高取山収穫試験地の林分成長経過 (つづき)
試験区 林齢 間伐率 収量比数 相対幹距(%) 幹材積純成長量
本数 幹材積 直径比 間伐前 間伐後 間伐前 間伐後 定期成長量 定期平均成長量 定期平均成長率 総成長量 総平均成長量
(%) (%) (間伐木/総林木) (m3) (m3/年) (%/年) (m3) (m3/年)
スギ1分地 15 32.1 23.3 0.9 0.8 0.6 17.8 21.7 162.7 10.8 13.3 162.7 10.8
20 25.8 19.2 0.9 0.7 0.6 18.5 21.5 97.6 19.5 11.2 260.3 13.0
26 30.0 17.8 0.8 0.7 0.6 16.8 20.1 109.0 18.2 7.8 369.3 14.2
30 2.3 1.4 0.8 0.6 0.6 18.4 18.6 75.9 19.0 6.9 445.2 14.8
35 7.7 4.2 0.8 0.7 0.7 16.9 17.5 100.3 20.1 5.6 545.5 15.6
40 9.4 4.8 0.7 0.7 0.7 15.9 16.7 92.5 18.5 4.2 638.0 16.0
45 24.1 19.7 0.9 0.7 0.6 15.6 18.0 76.9 15.4 3.1 715.0 15.9
50       0.6 0.6 17.5 17.5 42.5 8.5 1.9 757.5 15.1
60       0.7 0.7 16.4 16.4 117.2 11.7 2.2 874.6 14.6
70 1.6 1.0 0.8 0.7 0.7 16.0 16.2 115.3 11.5 1.8 989.9 14.1
80       0.7 0.7 15.0 15.0 99.4 9.9 1.3 1,089.4 13.6
スギ2分地 15 36.4 26.8 0.9 0.7 0.6 18.2 22.8 177.6 11.8 13.3 177.6 11.8
20 26.8 21.2 0.9 0.7 0.6 17.6 20.6 118.7 23.7 12.5 296.4 14.8
26 25.6 18.0 0.9 0.7 0.6 18.2 21.1 96.2 16.0 6.6 392.6 15.1
30 3.4 1.9 0.8 0.6 0.6 19.3 19.6 71.7 17.9 6.5 464.3 15.5
35 4.7 4.2 1.0 0.6 0.6 17.8 18.3 101.1 20.2 5.7 565.3 16.2
40 3.7 1.7 0.7 0.7 0.7 16.0 16.3 103.8 20.8 4.7 669.1 16.7
45 18.5 15.5 0.9 0.7 0.6 15.9 17.6 63.9 12.8 2.5 733.1 16.3
50       0.6 0.6 17.2 17.2 32.0 6.4 1.3 765.0 15.3
60       0.7 0.7 16.3 16.3 114.6 11.5 2.1 879.7 14.7
70 3.3 2.2 0.9 0.7 0.6 16.2 16.4 95.6 9.6 1.5 975.3 13.9
80       0.7 0.7 15.1 15.1 124.9 12.5 1.7 1,100.2 13.8
スギ3分地 37       0.5 0.5 24.0 24.0 189.5 5.1 5.4 189.5 5.1
42       0.5 0.5 22.3 22.3 55.7 11.1 5.1 245.1 5.8
48 24.2 13.1 0.8 0.6 0.5 19.9 22.8 56.2 9.4 3.4 301.4 6.3
52 1.7 1.4 0.9 0.5 0.5 21.6 21.7 60.4 15.1 5.2 361.7 7.0
57 2.6 1.6 0.7 0.5 0.5 19.8 20.1 74.6 14.9 4.2 436.4 7.7
62       0.5 0.5 19.9 19.9 45.3 9.1 2.2 481.7 7.8
67 18.0 16.5 1.0 0.6 0.5 19.0 21.0 72.4 14.5 3.1 554.0 8.3
72       0.5 0.5 20.8 20.8 13.6 2.7 0.6 567.6 7.9
82 4.5 1.8 0.8 0.5 0.4 22.1 22.6 0.4 0.0 0.0 568.1 6.9
92       0.4 0.4 22.8 22.8 78.3 7.8 1.7 646.4 7.0
102       0.4 0.4 22.4 22.4 65.7 6.6 1.2 712.0 7.0
ヒノキ1分地 38 16.0 10.9 0.8 0.6 0.5 22.1 24.1 174.7 4.6 5.3 174.7 4.6
43       0.6 0.6 22.1 22.1 55.6 11.1 6.1 230.3 5.4
49 22.3 16.4 0.9 0.7 0.6 20.0 22.7 52.0 8.7 3.7 282.3 5.8
53 0.6 0.7 1.1 0.6 0.6 21.6 21.6 44.6 11.2 4.6 326.9 6.2
58 2.9 1.3 0.7 0.6 0.6 20.4 20.7 48.0 9.6 3.3 374.9 6.5
63       0.6 0.6 21.0 21.0 28.4 5.7 1.8 403.3 6.4
68 12.7 9.1 0.9 0.7 0.7 18.8 20.1 72.8 14.6 3.9 476.1 7.0
73       0.7 0.7 19.3 19.3 34.8 7.0 1.8 510.9 7.0
83 1.5 1.3 1.0 0.7 0.7 18.5 18.6 88.3 8.8 2.0 599.1 7.2
93 16.4 12.5 0.9 0.7 0.7 17.8 19.4 105.6 10.6 2.0 704.7 7.6
103       0.7 0.7 19.2 19.2 70.5 7.0 1.3 775.2 7.5
ヒノキ2分地 38 15.8 8.4 0.8 0.6 0.5 21.8 23.8 160.3 4.2 5.3 160.3 4.2
43       0.6 0.6 23.2 23.2 39.6 7.9 4.8 199.9 4.6
49 15.7 8.5 0.8 0.7 0.6 20.0 21.8 48.7 8.1 3.9 248.6 5.1
53       0.6 0.6 20.7 20.7 40.3 10.1 4.3 288.9 5.5
58 10.0 4.4 0.7 0.7 0.6 19.3 20.3 46.2 9.2 3.3 335.1 5.8
63 0.5 0.2 0.8 0.7 0.7 19.3 19.3 44.9 9.0 2.9 380.0 6.0
68 19.2 12.6 0.9 0.7 0.6 18.4 20.4 39.6 7.9 2.3 419.7 6.2
73       0.7 0.7 19.8 19.8 26.7 5.3 1.6 446.4 6.1
83       0.7 0.7 19.5 19.5 52.0 5.2 1.4 498.4 6.0
93 21.7 15.8 0.9 0.7 0.6 17.9 20.2 113.5 11.4 2.5 612.0 6.6
103       0.7 0.7 19.7 19.7 86.2 8.6 1.8 698.1 6.8

注) 残存木平均樹高を上層樹高とみなす。ヒノキ2分地に若干数のスギが混生するが区別せず一括計上した。

京都市近郊竹林所有者へのアンケート調査結果
―文章回答方式の設問に対する回答一覧―

中島章文(経営研究室)

1. はじめに

経営研究室では、都市近郊における竹林の管理・利用・放置の実態を把握するため、竹林利用の一側面であるタケノコ生産に焦点を当て、アンケート調査を行った。本調査は、農協を経由してタケノコを出荷・販売している生産者・竹林所有者を対象に、平成12年9月、郵送方式により行った。アンケート調査表配布数は、西京区大原野地区235名、相楽郡山城町地区252名、合計487名であり、そのうちの52%にあたる254名から回答を得た。その分析結果は、森林応用研究10-1(中島 2001a)や日本林学会大会学術講演集(中島 2001b)で報告したが、紙数の関係から文章で記入する自由回答などについては割愛した。これらの記述方式の回答からは、竹林の管理・経営の現場の声が聞こえ、今後の竹林管理・竹産業の振興にとって有益な指摘も多々見られた。ここにその回答を一覧にして掲載する。

2. 竹林の管理・経営全般にわたる竹林所有者の声

表-1は、「竹・竹材・タケノコに対するご意見、竹林経営を振興させるための方策、行政に対するご要望、アンケートに関するご意見等お書き下さい」に対する、自由回答の一覧である。表中(1)は所有竹林面積(a)、(2)は所有竹林面積に占めるタケノコ生産に供する竹林面積の割合、(3)は年間タケノコ収穫量(kg)、(4)は専業農家・兼業農家(第1種・2種別)・非農家の別(それぞれ専・1兼・2兼・非で表示)である。

表-1竹林の管理・経営全般にわたる竹林所有者の声
(1) (2) (3) (4) 竹林の管理・経営全般にわたる意見等
(a) (%) (kg)    
75 40 2兼 藪に通ずる道が人しか通れないし、自動車道から藪までの距離が遠い。また、イノシシが良く来て竹林が荒れている。タケノコは年々若い人たちが食用に利用・料理することが少なくなると共にタケノコを好む世代も高齢化してきて、量的に消費量が減少してきているので、若者にも受け入れられるような生食用タケノコのPR等が必要。竹林も用途が減少し将来に対する希望が少ないので、竹炭・竹酢液、医薬用等への活用が望まれる。しかし、竹は1年中緑を保ち、大気浄化、山野の美観、防災や自然保護等のためにも必要だと思います。
30 100 1000 タケノコの成長を早める手段、タケノコ竹林の改良について研究成果等を勉強したい。
15 100 1800 10年前も今もタケノコ価格が同じである。重労働だけが残ります。
70 80 10000 竹林も田畑と同じように補助対象にして欲しい。
8 100 400 2兼 伐採した竹(トンボ)は昔は燃料にしたが今は野菜の支柱以外に利用方法がない。何とかなりませんか。
7 100 タケノコ価格の安定。
50 100 イノシシの被害(春先~9月)が深刻である。収穫量の半減が心配。
70 40 1200 2兼 タケノコの価格はどちらかといえば安くなっているのに、資材・肥料等は高額である。また、一般的に季節感がなくなってきていて、生食タケノコは缶詰に押されている。モウソウチクばかりの調査ですが、大原野ではハチクのタケノコ生産・出荷も盛んです。ハチクタケノコは京都市場では売れません。大阪・西宮あたりがよく売れます。ハチクタケノコの収穫がすむとマダケのタケノコがあります。藪の敷きわら・肥料・土入れ等人手にかかると収入はゼロです。自分の労賃のみが収入になるのが現状です。
40 25 300 生鮮タケノコは年に1回の季節ものの割に値段が安い。タケノコの掘り取りには技術が必要で、誰でも扱うことはできないし、労働もきつい。家族でやりたくても若い者は勤めに出て、なかなかタケノコ掘りを習うことができないのが現状です。
15 100 1600 農協等に支払う手数料や肥料代などを差し引くと収入はゼロになる。隣接地が放置状態の竹林で、被陰等の問題がある。隣接の藪に自由に入って手入れができるとありがたい。竹林管理のわかりやすい手引き書みたいなものをまとめて欲しい。肥料をやるのも勘に頼り、どの肥料が最も効率的か分からないままに肥料をやっている。隣接の放置竹藪には困っている。
20 25 50 以前は100a程度の竹林があったが、高齢化や竹材が売れなくなり、その大半にヒノキを植栽した。今は、親戚や近所に配る程度しか収穫していない。
30 100 3000 2兼 大原野の特産であるタケノコをできるだけ長く維持していきたい。高齢化が進む中で後継者問題等いろいろ困難ですが、先祖より受け継いだ土地を絶やすことなく守り通していくことが、今後生産者に課せられた課題である。大原野特産のタケノコを全国にPRする良い方法はありませんか。
19 55 300 2兼 竹の処分に業者を頼んだりする場合に、補助金が出たらよいと思う。
60 30 自分自身は高齢化し、後継者もいないのが現状。
50 500 2兼 円高の続く限り、輸入に押されて全くだめです。見込みはありません。
15 60 昔から主人と二人で竹林の手入れをしてきたが、二人とも高齢化し、仕事ができなくなった。
300 3 2兼 タケノコは調理の手間がかかりすぎ、現在の職業人間に適さない農作物となっている。竹の需要拡大を考えて欲しい。
30 100 農協出荷と知人への宅配便、直接販売等で販売している。
52 60 2兼 20aは竹材店に貸している。せっかく手入れをしてもイノシシやカラスの被害で困っている。
50 100 タケノコ生産者にとっては重労働の割にタケノコ価格が低迷している(タケノコの品質にもよるが)。タケノコの集荷業者(荷受機関)が少なく、出荷が市場に集中する(価格が低迷する)ので、荷受業者が増えれば生産者も熱が入るのではないか。伐竹した竹材の処分に困っています。
10 100 2000 タケノコの需要拡大をPRするための行政やJAによるアンテナショップ等の設置。竹材の利用開発研究。
60 80 特に原料タケノコの価格が安い。1kg20~30円では手間賃も出ないのでは。
8 100 1800 “ホリ”を使ったタケノコ掘りは技術と経験を必要とし、女では難しい。女でも掘れるような機械あるいは道具があれば会社勤めの男に頼らなくてもすむと感じます。
50 80 2兼 人手が少ないため掘り取りに手が回らず、原料タケノコが規定の大きさのうちに収穫・出荷できない。したがってタケノコの質の悪い箇所は放置するより仕方がない。また、タケノコの原料が年々安く、又規格も小さくとのことだが、最盛期には大きく伸びるので人手がない時はすべてダメにしてしまう。多くの場所を掘れないのが難点。短期間の作物なので体がつらく重労働。特に腰痛になりやすい。
150 50 2兼 石油製品に勝る竹加工による素晴らしい製品作りの研究をして欲しい。
30 100 1000 2兼 現在自分が作業をしているが、息子・孫は関心がなさそうである。
40 60 2兼 1年間を通じ重労働です。暑い夏の草引き、最寒の土入れ、来年はできるだろうかと毎年不安です。費用もかなり高くつき、出荷の時期の価格の安定が望まれる。
24 100 300 2兼 現在、勤めに出ているが、定年後は更に竹林の手入れをしたい。
25 80 1300 2兼 すべての竹をチップにし有機質肥料ができないものか。タケノコまたは竹と土質の関係を化学的に研究し、その地域ごとの作付け面積を拡充する。年間を通した管理作業を機械化する方策を研究して欲しい。水田と同じように新たな耕作権を設定できる制度を設ける(台帳:山林、現況:タケノコ畑が多い)。竹パルプをつくるにはコストが高いのだろうか。
25 100 1000 特殊な技術を要するタケノコの掘り取りは誰にでもできる作業ではない。農業・土と関わったことのない人には続く作業ではないでしょう。今後のタケノコ生産のための労働力の確保が最大の課題である。掘り取りは技術を要する上、一時的に春に集中し朝も早く他の仕事に就きながら掘ることは難しい。かといって他人に任せると技術料として高くつく。収支トントンなら幸運と割り切れるが、出費ばかりかさむ。考えれば考えるほど解決策はなく、先祖の歴史を考えると頭が痛い。
100 20 竹林を毎年管理する上で困っていることは、伐採した竹材の処分です。タケノコ生産に利用していない藪も伐採しているが処分に困っている。新たな利用法があれば助かる。
220 35 一般消費者のタケノコ離れのため消費量が伸びない。
竹林に限らず、生産者の高齢化、後継者問題など問題は山積。生産者としても農業(竹林経営)だけに頼る収入も厳しいのが現状。
〔山城町〕
(1) (2) (3) (4) 竹林の管理・経営全般にわたる意見等
(a) (%) (kg)    
30 50 300 老齢化のため掘り取り・運搬が困難。20年以上も伐竹・土入れせず放置。竹林内が暗く荒れているのでボランティア等の方に手伝ってもらいたい。
60 100 2兼 竹材の需要拡大が必要であり、行政の指導・新たな利用法の開発に期待。外国産タケノコの輸入縮小を望む。
54 90 450 1兼 山間部に竹林があるため軽トラックが進入できない(道路の未整備)。隣接竹林が放置され荒れているため所有竹林への日当たりが悪く、しかも枯れた竹が倒れてきて困る。
60 100 2000 2兼 タケノコ藪の面積を縮小し、土入れ(集約作業)をして質の良い生鮮タケノコを作れば良いと感じる。
108 90 最近中国産のタケノコが早い時期より日本に輸入され、日本のタケノコ農家の販売価格を下げている。食事の変化等で米の消費量が少なくなってきたので、ますます煮焚きするタケノコなどは消費が少なくなると思われる。早くから九州・徳島産が昔より多くまた輸送技術が進んで鮮度良く出荷されてくるので、良品質の山城産でも我々の出荷する時期には食べ飽きて、5月に入ればタケノコが売れなくなった。竹炭・竹酢液も興味があるのでご指導をお願いしたい。
20 50 1000 2兼 労働力不足と市場価格低迷でタケノコ生産販売の継続困難。竹の新たな利用開発(竹炭・竹酢液等)に期待。
40 0 2兼 中国産タケノコ缶詰による価格低迷大。本人・子供も勤めのため竹林管理ができない。竹の新たな製品が皆に普及すると良い。
60 85 350 2兼 山城町は歴史あるタケノコ産地であり、今後も産地としての存続を望む。生食用タケノコは100%無農薬であり、健康食品としてのPR等を行政等に求めたい。竹材利用については他地域での有効活用事例等があるのでは?竹には特殊な効果があるのでそれを利用できないものか。農家所得の向上と竹林保全のために速やかな対応を望む。
21 100 1000 2兼 竹材の始末に困っている。竹材による竹炭・竹酢液の生産・販売をできるようにして欲しい。
30 100 2800 2兼 中国産のタケノコの影響大。行政の指導・公的補助制度の導入を考えてもらいたい。
110 100 6000 竹・竹材の各種利用法も考えるべきだろうが、他に仕事を持っているものがやれる範囲内では、タケノコ以上の収入(投入労力に比較して)が得られるとは考えにくい。
8 100 集団でタケノコ掘りに来て、勝手に掘り取っていくものが多くなった。種(後継竹)として残したタケノコまで掘り起こしたり、ある程度伸びた竹を切り落とすものが多くなった。
40 100 1500 2兼 竹炭は冷蔵庫の消臭に効くので普及を図って下さい。息子の定年まで夫婦で頑張りたい。
15 100 750 2兼 竹材の処分について考えてもらいたい。
50 100 3000 タケノコ価格の安定を望む。タケノコのイノシシ被害がみられる。イノシシの駆除を望む。
15 35 2000 昭和40年代まではタケノコ販売収入が良く家計の助けになった。山城町のタケノコは日本一で東京でも名前が売れている。その知名度を生かして頑張って下さい。
25 80 800 年々タケノコの値が下がり困っている。地元JAはもっとタケノコに力を入れて欲しい。
40 100 1560 2兼 後継者がいない。タケノコ価格が安い。缶詰用タケノコの売り上げはバブル崩壊後以前の3分の1以下に減った。
40 100 4000 2兼 ここ10年位の間に海外生産のタケノコに押されて味の良い棚倉のタケノコでも価格低迷が続いている。生鮮タケノコが高く売れるような流通問題を検討してもらいたい。また、高く売れる小―中程度の大きさのタケノコは竹の太さに関係すると考えている(太い竹からは大きなタケノコ、細い竹からは小さいタケノコが出るようである?)が、技術面で指導頂けるところはどこか?タケノコ栽培研究サークル等の発足があればよいと思う。さらに、4月中旬までの早い時期にとれるタケノコ栽培をしないと、4月下旬以降では全く採算が合わない。良い方法はないか?
15 30 500 2兼 自分自身が高齢化し、作業をする体力・気力がなくなった。また、売るにしても価格が安いのでその意欲が湧かない。
45 55 3500 2兼 中国産缶詰の影響大。
16 100 1200 2兼 竹林の手入れをしてもタケノコ価格が安すぎてやりがいがない。
40 25 1500 2兼 竹材・タケノコとも金にならない。
10 100 900 2兼 タケノコは山城の名産として広く知られている。親竹の竹炭としての効能をPRして、未利用親竹の利用度を高めて欲しい。
20 100 2000 2兼 市場出荷した場合、仲買人の買いたたきが問題。竹林経営による収入で家計の5割以上を見込める方法としては市場開拓が必要。
28 100 1200 2兼 タケノコの栽培については簡単だが、生産については一般の素人では簡単にできるものではない。生産されたタケノコは価格面で低迷、作業面では重労働、自然に任すより仕方がない。
50 80 300 2兼 行政は竹林経営の現況もつかめていないのに何を指導するというのか?行政は無関心状態である。森林総合研究所は竹林経営を振興させるのに何をされているのか。
10 100 2兼 竹材の有効利用を考えるべき。現状では竹材を焼却しているケースが大半ではないか。これは地球環境の観点からも好ましくない。また、竹材は樹脂等に比べ地球にやさしい材料であり、もっと活用範囲を広げ魅力ある商品の提案とその販売ルートを作って欲しい。竹炭や竹酢液など役に立つと思う。竹炭をつくる大規模な施設を作ったらよいのでは。もちろん販売ルートの開拓も含めて。
87 30 500 2兼 昔のように、もっと竹を利用する賢い人が増えることを望むのみ。
43 20 800 2兼 道路の整備が必要。
8 60 500 竹林管理についての指導・研修の場を設けて欲しい。このままでは山城町のタケノコ生産は衰退していく。放置竹林又は竹林の隣の林の手入れを所有者に啓発すべき。

3. 竹林の放置・拡大に関する竹林所有者の声

表-2は、自由回答の中で竹林の放置・拡大に関連した記述を一覧にしたものである。表中(1)~(4)は表-1に同じである。

表-2竹林の放置・拡大に関する竹林所有者の声
(1) (2) (3) (4) 竹林の放置・拡大に関する意見等
(a) (%) (kg)    
15 100 1600 隣接地が放置状態の竹林で、被陰等の問題がある。隣接の藪に自由に入って手入れができるとありがたい。
300 3 2兼 竹材が売れないため30年ほど前から所有竹林の大半を放置している。ヒノキやスギの山林内に竹が次々と侵入し、植林木を枯らすので困っている。竹を枯らす薬剤を教えて欲しい。毎年新竹を切っているがなかなか手が回りません。京都と竹、古きより親しまれてきたが、近年竹の需要も少なくなり所有者にとっては無用のものとなりつつある。竹は生命力が強く、山林を枯らし、天王山の山頂まで竹になり、山の姿が変化した今日、所有者任せではなく、府・市・町の行政も熱心に取り組み、公的補助金の導入等地元と共に取り組んでもらいたい。
25 80 1000 2兼 昔のことになるが、竹材店(竹伐り業者)が大原野地区で10店余りあったが、その業者がいなくなったことが不耕作の竹藪がどんどん増えていく原因ではないか。このままでは西山が全山竹藪になってしまう。
         
〔山城町〕
         
(1) (2) (3) (4) 竹林の放置・拡大に関する意見等
(a) (%) (kg)    
20 50 1000 2兼 地下茎(特に傾斜の急な山林の竹藪・放置状態の竹藪)が山林を侵食して樹木の生育域を冒し防災的な面で危機に感じている。かつて山城地域では災害の実例が多々あり、この点に関し改めて対応策の検討と適切なご指導を火急的課題としてよろしくお願いします。
10 100 1000 現在、山城町では国道24号線以東の山林が、竹林に占拠されているような状況にあります。昔のような針葉樹・広葉樹の間に竹林が点在している、そんな町村風景に戻したい。放置された竹の自然倒壊で通行困難な道路箇所がある。竹の新たな利用法、誠に結構な話だが、それだけの竹の消費が得られるでしょうか?年を追うごとに蔓延する竹が多く、失われていく山林の保護を考えるべき時期にあると思います。放置された竹林の周囲の田畑の監視は大変負担が大きく、猛威を振るう竹林、監視できぬ竹畑に、行政は竹の枯死対策を考える時期にあると思います。
15 35 2000 山城町の森林率52%、その多くが竹藪化しているので早急な対策が必要。
20 100 1500 2兼 山林に竹が侵入してきている。この竹を切っていただきたい。
9 100 500 2兼 山林が異常な早さで竹林化している。早急にこれを阻止する必要がある。山林地権者に竹林化阻止の実行協力を求めてはどうか。
40 25 1500 2兼 竹は付近へ広がる一方である。放置すれば枯竹となり道路に倒れたり近所に迷惑。他人に迷惑のかからない程度の管理は必要。
40 25 800 2兼 今のままでは山林が竹林になってしまう。竹林の広がりを止めることを考えなければ大変なことが起こると思う。
10 100 1050 2兼 隣接の山林へ竹の侵入が甚だしく、山林が一面の竹林と化しつつある。この対策には行政も苦慮している模様。行政・研究所・関係機関・竹林所有者ともに対処すべきことと思う。
20 100 150 放置状態の竹藪をボランティアに提供し、藪の管理やタケノコ掘りを行うよう行政の力添えを望む。山城町の竹林の一部は土地が住宅会社や不動産会社等のものであったりして、荒れ放題で非常に困っている。道路も周囲の荒廃竹林の影響で年々通りにくくなってきています。

〔山城町〕

(a) (%) (kg)    
20 50 1000 2兼 地下茎(特に傾斜の急な山林の竹藪・放置状態の竹藪)が山林を侵食して樹木の生育域を冒し防災的な面で危機に感じている。かつて山城地域では災害の実例が多々あり、この点に関し改めて対応策の検討と適切なご指導を火急的課題としてよろしくお願いします。
10 100 1000 現在、山城町では国道24号線以東の山林が、竹林に占拠されているような状況にあります。昔のような針葉樹・広葉樹の間に竹林が点在している、そんな町村風景に戻したい。放置された竹の自然倒壊で通行困難な道路箇所がある。竹の新たな利用法、誠に結構な話だが、それだけの竹の消費が得られるでしょうか?年を追うごとに蔓延する竹が多く、失われていく山林の保護を考えるべき時期にあると思います。放置された竹林の周囲の田畑の監視は大変負担が大きく、猛威を振るう竹林、監視できぬ竹畑に、行政は竹の枯死対策を考える時期にあると思います。
15 35 2000 山城町の森林率52%、その多くが竹藪化しているので早急な対策が必要。
20 100 1500 2兼 山林に竹が侵入してきている。この竹を切っていただきたい。
9 100 500 2兼 山林が異常な早さで竹林化している。早急にこれを阻止する必要がある。山林地権者に竹林化阻止の実行協力を求めてはどうか。
40 25 1500 2兼 竹は付近へ広がる一方である。放置すれば枯竹となり道路に倒れたり近所に迷惑。他人に迷惑のかからない程度の管理は必要。
40 25 800 2兼 今のままでは山林が竹林になってしまう。竹林の広がりを止めることを考えなければ大変なことが起こると思う。
10 100 1050 2兼 隣接の山林へ竹の侵入が甚だしく、山林が一面の竹林と化しつつある。この対策には行政も苦慮している模様。行政・研究所・関係機関・竹林所有者ともに対処すべきことと思う。
20 100 150 放置状態の竹藪をボランティアに提供し、藪の管理やタケノコ掘りを行うよう行政の力添えを望む。山城町の竹林の一部は土地が住宅会社や不動産会社等のものであったりして、荒れ放題で非常に困っている。道路も周囲の荒廃竹林の影響で年々通りにくくなってきています。

参考文献

  • 中島章文 (2001a) 都市近郊における竹林の管理・経営の実態―京都市近郊のタケノコ生産地を事例にして―. 森林応用研究10(1): 1-7
  • 中島章文 (2001b) 都市近郊竹林経営の現状と課題―京都市近郊竹林所有者へのアンケート調査結果を中心に―. 第112回日本林学会大会学術講演集: 118