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平成26年3月3日
独立行政法人森林総合研究所
ポイント
東京都八王子市にある独立行政法人森林総合研究所多摩森林科学園では、約600系統、1,300本のサクラを収集して、遺伝資源としての研究と保全に取り組むとともに、毎年春には多くの方々にサクラの開花を楽しんでいただいております。今春は、企画展「染井吉野をもっと楽しむ」を開催するとともに、「年間パスポートチケット」の販売を開始します。また、サクラ栽培品種に関するDNA研究と形態研究の成果を分かりやすく図鑑形式にまとめた「サクラ保存林ガイド」を発刊します。
サクラは江戸時代以前から数多くの栽培品種が育成され、貴重な遺伝資源であるとともに日本の重要な文化的遺産ですが、長い歴史の中で様々な出来事があったと思われ、品種の名称と実体の間には多くの混乱が生じていました。森林総合研究所では、国立遺伝学研究所や住友林業株式会社と共同で、DNA識別と形態識別に基づく総合的な研究を実施し、サクラの伝統的栽培品種の正確な分類に取り組んできました。
その成果として、2011年3月8日にプレスリリース「遺伝子情報を利用したサクラ栽培品種の網羅的識別技術を開発」を行い、2013年2月16日にはシンポジウム「美しい日本のサクラを未来に伝える−系統保全の現状と新展開−」を開催しました(2013年1月11日プレスリリース)。
このような研究成果は、学術論文として専門誌に発表しているほか、森林総合研究所第3期中期計画成果集「桜の新しい系統保全−形質・遺伝子・病害研究に基づく取組−」としてホームページで公表してまいりましたが、このたび多くの皆様のご要望に応え「サクラ保存林ガイド」として発刊することとしました。
(1) 企画展「染井吉野をもっと楽しむ」の開催
染井吉野は明治時代に広まった栽培品種で、今日最も多く植えられている身近なサクラです。今回の企画展ではまず、この染井吉野の起源に関する科学的な研究を戦後いちはやく行い、多摩森林科学園のコレクションにつながる重要な系統を保有する国立遺伝学研究所を取り上げて、サクラとの関わりを紹介する解説パネル「染井吉野と遺伝研の桜」を展示します。また、単一クローンでありながら、各地の風景に溶け込んで様々な姿を見せる染井吉野を紹介する写真展「染井吉野で巡る桜旅」を展示します。さらに、染井吉野の起源と推定されるエドヒガンとオオシマザクラ、染井吉野の実生から育成された系統、エドヒガンとオオシマザクラの雑種と推定される別の系統など、染井吉野に関連するサクラを園内で見学するための「桜めぐりマップ:サクラ保存林で見る染井吉野の仲間」の配布を行います。(3月10日〜5月6日)
(2) 「年間パスポートチケット」の導入
サクラ保存林では3月後半から4月末にかけて、200種類以上、1,300本のサクラが次々に開花し、毎週異なる種類のサクラを楽しめます。また、樹木園の四季の変化、園内の見学スポットも楽しむことができ、春と夏秋の企画展、毎月の森林講座なども開催されています。「年間パスポートチケット」を購入いただくことにより何度でも入園いただけます。(年間パスポート1,200円。3月10日販売開始。)
(3)「サクラ保存林ガイド」の発刊
森林総合研究所を中心とした最新の研究に基づき、一般書では初めてとなる、サクラの栽培品種に関するDNA研究と形態研究の成果をわかりやすく図鑑形式にまとめたガイドブックです。園内のサクラ見学だけでなく、日本のサクラ全体の解説書としてもご利用いただけます。園内や、主要都市の大手書店、Amazonなどでお買い求めいただくことができます。
(「サクラ保存林ガイド−DNA、形質、履歴による系統保存−」A5版、120ページ、オールカラー、1,200円。3月20日発売予定。)
入園案内
開園時間:午前9時30分〜午後4時(入園は午後3時30分まで)(4月は午前9時開園)
休園日:3、4月は無休(それ以外は毎週月曜休園(月曜が休日の場合は翌日休園))
入園料:4月/大人400円、小中高生150円、4月以外/大人300円、小中高生50円
ホームページ:http://www.ffpri.affrc.go.jp/tmk
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