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プレスリリース

2025年8月27日

東京建物株式会社
国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所

都市緑地がウェルビーイング向上に与える影響を科学的に検証
東京建物と森林総研、共同研究を「大手町の森」で開始
ヒートアイランド現象の緩和効果も分析、都市緑地の多面的な価値を定量化・可視化

東京建物株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役 社長執行役員 小澤 克人、以下「東京建物」)と国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所(研究所:茨城県つくば市、所長 浅野 透、以下「森林総研」)は、都市緑地が人々のウェルビーイング向上に与える影響を科学的に検証することを目的とした共同研究(以下「本研究」)を、「大手町タワー」(東京都千代田区)敷地内の緑地「大手町の森」において開始しましたのでお知らせします。本研究は森林総研と不動産デベロッパーによる共同研究としては、本研究が初となります。

都市緑地の写真
大手町の森

「大手町の森」は、2014年に竣工したオフィス・ホテル・商業施設等からなる大規模複合施設「大手町タワー」の敷地の約3分の1、約3,600m2に広がる広大な都市の森です。2013年の完成以来、自然の森に近い形での管理を継続しており、周辺のワーカーや来街者の憩いの場としてもご利用いただいています。
本研究では大手町エリア周辺のワーカー30名を対象とし、ストレスホルモン、交感神経活動等のバイタルの計測および質問紙を用いた心理調査によって「大手町の森」への滞在が身体的・精神的健康に与える影響を調査・分析することで、近年注目されている都市緑地が人々のウェルビーイング向上に与える影響を科学的に検証します。また、ヒートアイランド現象の緩和効果の調査分析等を行うことで、都市緑地の多面的な価値を定量化・可視化することを目指します。

ポイント

  • オフィス街に設置された都市の森が人々のウェルビーイング向上に与える影響をバイタルデータにより科学的に検証する初の取り組みを開始。
  • 大手町周辺のワーカー30名を対象に、「大手町の森」での滞在が身体的・精神的健康に与える効果を検証。加えて、ヒートアイランド現象の緩和効果の調査分析を実施することで、都市緑地の多面的な価値を定量化・可視化。

共同研究の実施概要

実施期間:2025年8月~2026年3月末(予定)
実施内容:(1)「大手町の森」がウェルビーイング向上に与える効果をストレスホルモン、交感神経活動等のバイタルデータ、心理データを用いて検証。(対象:大手町エリアのワーカー30名)
(2)「大手町の森」の温熱環境状況をWBGT・PMVの指標を用いて測定。
実施場所:大手町タワー敷地内「大手町の森」(東京都千代田区大手町一丁目5番5号)
実施主体:東京建物株式会社、国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所
協力:一般社団法人グリーンインフラ総研、一般社団法人森と未来、東邦レオ株式会社

WBGT(Wet Bulb Globe Temperature)は温熱環境的な安全性を、PMV(Predicted Mean Vote)は温熱環境的な快適性を統合的に表現する指標。

都市緑地を利用するワーカーや来街者の写真01 都市緑地を利用するワーカーや来街者の写真02
大手町の森の様子

 

「大手町の森」の概要

「大手町の森」は、「大手町タワー」の敷地の約3分の1、約3,600m2に広がる都市の森であり、千葉県君津市内の山林で約3年間をかけて実際に木高層ビル群に囲まれた本物の森々や草花を育成する「プレフォレスト」という手法をとり、建物の竣工にあわせて土壌や植物を移植しました。2013年の竣工以来、自然の森に近い形での管理を継続しており、皇居外苑など周辺の緑地も含めたエリア一帯で生態系ネットワークが形成されています。
敷地内は開発前後の比較で平均1.7℃気温が低下するなど、ヒートアイランド現象を緩和する効果もあり、高層ビル群に囲まれた“本物の森”は来街者の憩いの場となっています。また、土壌や貯水槽を活用して雨水を一時貯留することで、ゲリラ豪雨の際に内水氾濫等を防ぎながら、潅水へ再利用しています。
2013年に107種であった植物類は、その後、日照を好む種が減少し、日陰を好む種が増加する等、環境に合わせた適者生存・競争の結果、2021年には208種となりました。この中には、シロヤマブキ、ヤマブキソウ、アスカイノデ、イカリソウなど、国や東京都のレッドリストに掲載される希少種も含まれます。また、昆虫類では同様にウラナミアカシジミ、セスジイトトンボなど計129種、鳥類はタカやハヤブサなど計13種が確認されています。
「大手町の森」では、ウェルビーイング向上の観点から、来街者に心地よく過ごしてもらうことを目的とした、さまざまなイベントを企画・開催しています。生態系を保全するとともに、都心における緑地整備の重要性や生物多様性に興味・関心を持っていただけるような取り組みを推進しています。

 

 

・大手町の森で確認された東京都のレッドリスト掲載生物例

日陰を好む植物類の例
ヤマブキソウ
昆虫類の例
ウラナミアカシジミ

物件概要・アクセス

大手町の森とその周辺の路線図

<大手町タワー概要>
所在:東京都千代田区大手町一丁目5番5号
敷地面積:11,037.84 m2
延床面積:約198,000 m2
階数:地下6階・地上38階・塔屋3階
高さ:約200m
竣工:2014年

<アクセス>
東京メトロ東西線・丸ノ内線・千代田線・半蔵門線、
都営三田線「大手町」駅直結
JR各線「東京」駅徒歩5分

参考

 

お問い合わせ先

研究担当者:
森林総合研究所 森林管理研究領域 チーム長(森林空間利用推進担当) 高山範理
 構造利用研究領域 木質構造居住環境研究室 室長 森川岳

広報担当者:
森林総合研究所 企画部広報普及科広報係
Tel: 029-829-8372
E-mail: kouho@ffpri.go.jp

 

 

 

 

 

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