研究紹介 > トピックス > プレスリリース > プレスリリース 2026年 > 小笠原諸島・母島列島で、ムラサキシキブ属の新種2種と自然交雑種を報告
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2026年1月19日
島根大学
国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所
東京都立大学
ポイント
ムラサキシキブ属は、小笠原諸島で適応放散的種分化を遂げた代表例の1つであり、オオバシマムラサキ(Callicarpa subpubescens)、シマムラサキ(Callicarpa glabra)、ウラジロコムラサキ(Callicarpa parvifolia)の3つの固有種が記載されていました。この3種はいずれも父島列島に分布しており、湿性高木林にはオオバシマムラサキ、乾性低木林にはシマムラサキ、乾性型矮低木林にはウラジロコムラサキが生育し、それぞれ異なる生育環境に棲み分けています。一方、他の列島(聟島列島・母島列島・火山列島)にはオオバシマムラサキのみが分布するとされてきました。しかしながら、母島列島のオオバシマムラサキには形態的な多様性が存在していました。
私たちは、母島列島に分布するムラサキシキブ属について、網羅的かつ長期に渡る野外調査と遺伝解析、形態計測を実施してきました。これまでの一連の研究を踏まえ、従来オオバシマムラサキ(Callicarpa subpubescens)1種とされてきたものを、4つの分類群に分けるべきであると考え、新たに2つの新種と1つの自然交雑種を報告しました。
オオバシマムラサキ(Callicarpa subpubescens):既知種
湿性高木林の下層に生育する(母島列島全域)
葉の両面にほとんど毛がない
開花期は夏(6-7月)
オガサワラムラサキ(Callicarpa boninensis):新種
湿性高木林に生育し、林冠を形成する(主に、石門~乳房山山頂)
樹高が高い
葉の両面に毛がある
開花期は秋(7-12月)
他の分類群に比べて、古い系統である
ハハジマムラサキ(Callicarpa hahajimensis):新種
乾燥地に生育する(主に、東山や剣先山の岩場、妹島、姪島)
樹木サイズが小型で、しばしば株立ちする
葉の両面に毛がある
開花期は夏から冬の長期に渡る(7-1月)
チブサシマムラサキ(Callicarpa × chibusensis):自然交雑種
親種はオオバシマムラサキとオガサワラムラサキ
高標高の雲霧林に生育する(主に、石門~乳房山山頂の尾根部)
葉の両面にまばらに毛がある
開花期は夏(6-8月)
今回記載した新種・自然交雑種は分布域が狭く、アカギやトクサバモクマオウなどの外来植物の影響を受けて、個体数が減少している個体群もあります。分類の見直しにより、保全単位が再評価され、今後の生態系管理や保全に活かされることが期待されます。
本成果は、2025年12月24日に、国際学術誌「Phytotaxa」にオンライン掲載されました。
本件に関する写真

母島列島に生育するムラサキシキブ属4分類群(撮影:鈴木節子)。
論文タイトル:New Callicarpa (Lamiaceae) taxa: Two species and a natural hybrid from Hahajima Island, Ogasawara Islands, Japan(小笠原諸島・母島列島のムラサキシキブ属の新分類群:2つの新種および1つの自然交雑種)
著者:Kyoko Sugai (須貝杏子) *, Suzuki Setsuko (鈴木節子), Kayo Hayama (葉山佳代), Hidetoshi Kato (加藤英寿) [*: 責任著者]
掲載誌:Phytotaxa, 736: 1-11
DOI:https://doi.org/10.11646/phytotaxa.736.1.1
公開日:2025年12月24日
本研究は、日本学術振興会科学研究費(26290073, 15K07203, 21K05694, 21KK0131, 24K01801)、環境省環境研究総合推進費「小笠原諸島の自然再生における絶滅危惧種の域内域外統合的保全手法の開発」(4-1402)、文部科学省科学技術人材育成費補助事業「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(牽引型)」による「島根大学女性研究者をリーダーとする共同研究プロジェクト支援事業」の研究助成を受けて行いました。
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