今月の自然探訪 > 過去の自然探訪 掲載一覧 > 自然探訪2014年2月 雪の観測 ―新潟県十日町市―
更新日:2014年2月3日
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森林総研十日町試験地は、積雪の深さが平年でも2m、多い年には3mを超える多雪地にあり、1917年の設立以来100年近くにわたって雪の観測を続けてきました。写真1は1918~2012年の年々の最大積雪深を表わした実物大のグラフで、物干し竿を利用して作りました。積雪深は、現在では超音波式積雪深計(写真2)で24時間連続して測定しています。写真中央の送受波器から発射された超音波が、雪面で反射して送受波器に戻ってくるまでの時間を測定して雪面までの距離を計算し、積雪深に換算する仕組みになっています。
積もった雪を掘って断面を見ると、降り積もった順に層ができています(写真3)。雪の結晶は積もった直後から刻々と変化するので、雪粒子の形や大きさの違いにより層になって見えるのです。そこで10日毎に積雪を地面まで掘って断面を作り、層構造を調べ、層毎の雪粒子の種類(雪質)や大きさ(粒径)、温度や密度、硬度、含水率(水分の割合)などを観測しています。積もったばかりの「新雪」は、降雪結晶の形が見えますが、時間がたつと丸みのある粒子に変化するとともに粒子同士がくっついて密度や硬度が増し「しまり雪」へと変化します。日射や気温上昇で表面の雪が融けたり雨が降ったりすると、水を含んだ雪は粒子の大きな「ざらめ雪」へと変わります。3月の融雪期になると全層がざらめ雪になり、融けて積雪深が低下していきます。こうして雪が消えるのを見届ける4月まで、雪に向き合った日々が続きます。
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写真2: 超音波式積雪深計 左:積雪深79 cm、右:積雪深282 cmのとき。 |
写真1:年々の最大積雪深を表わす実物大のグラフ
(左奥:1918年、手前:2012年。過去96年間の最大値は1945年の425 cm)
写真3:積雪の層構造を観測している様子
(積雪深: 286 cm、2013年2月25日)
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