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更新日:2016年4月1日

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自然探訪2016年4月 山に残る地震の爪痕(つめあと)

山に残る地震の爪痕(つめあと)

日本では毎年のように地震が数多く発生していますが、大きな地震は発生すると甚大な被害をもたらします。2011年3月11日に発生した東日本大震災によって津波による甚大な被害が発生したことは記憶に新しいところですが、内陸部で地震が発生すると山崩れが発生し、それによって大きな被害が起きます。1995年1月17日の阪神淡路大震災や2004年10月23日の中越地震などでは多くの山崩れが発生し、被害が出ています。私たちはこのような内陸部で発生した地震のひとつである2008年6月14日に発生した岩手・宮城内陸地震の災害現場において、山崩れの調査を行ってきました。

岩手・宮城内陸地震では大小数多くの山崩れが発生しました(写真1)。山崩れが発生した現地の山を歩いていると、山の崩れていない斜面でも多数の亀裂が見つかりました(写真2)。亀裂は山の尾根や中腹に多く見つかりました。なかには写真3のように樹木を「また割れ」して発生している亀裂もありました。地震によって亀裂が発生した山の斜面は変形しています。その後の降雨や地震によって変形が進むと、将来的には深層崩壊などの大規模な災害につながる恐れがあります。将来的な災害の発生を未然に防ぐためには亀裂が発生し変形が進行した斜面を見つける必要があります。

山に発生した亀裂はどうすれば見つけることができるのでしょうか?これまでは空中写真から崩壊などの地形変化を判読してきましたが、亀裂のような微小な変化は周辺の木々に隠れて見つけることはできません。このため、これまでは現地を歩いて探すことでしか亀裂を見つけることができませんでした。しかし、近年発達した航空レーザー測量によって詳細な地形データを得られるようになりました。図1はこの地形データを利用することによって作成した山の詳細な地形図(陰影図)です。山の尾根(赤枠部分)の矢印で示した場所に筋状の模様が見えるのがわかるでしょうか?現地調査の結果、この筋状の模様は地震によって発生した亀裂を表しており(写真4)、さらに、地震前の地形データと比較したところ、この亀裂を境にして写真4の手前側の斜面が変形していることがわかりました。このように、詳細な地形データを利用することによって亀裂の発生位置や斜面の変形をある程度特定することができるようになりました。

私たちはこのような最新の技術を利用して、山に存在する地震の爪痕を探し出し、将来的な災害を未然に防ぐための研究を進めています。

 

 (水土保全研究領域 山地災害研究室 村上 亘)

 

図1:2008年岩手・宮城内陸地震後に計測された航空レーザー測量データから作成された陰影図

図1:2008年岩手・宮城内陸地震後に計測された航空レーザー測量データから作成された陰影図。データは林野庁東北森林管理局より提供していただきました。詳しくは「村上ほか(2013) 2008年岩手・宮城内陸地震にともなう線状凹地の拡大と重力変形、地形、34-1、p55-67」に掲載されています。

写真1:岩手・宮城内陸地震で発生した山崩れ
写真1:岩手・宮城内陸地震で発生した山崩れ

写真2:岩手・宮城内陸地震によって山の尾根に発生した亀裂
写真2:岩手・宮城内陸地震によって山の尾根に発生した亀裂

写真3:地震の亀裂(矢印)によって「また割れ」した樹木
写真3:地震の亀裂(矢印)によって「また割れ」した樹木

写真4:図1の山の尾根で確認された亀裂
写真4:図1の山の尾根で確認された亀裂(黄色矢印)。
亀裂を境に手前側の斜面が赤色矢印の方向に変形していました。

 

 

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