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クサギの葉痕(12月)

クサギ「春はあけぼの」「冬はつとめて」は枕草子の世界ですが、落葉樹の世界では、「冬は葉痕」です。よく見るとおもしろいのが葉痕(葉の落ちた跡)です。

写真はクサギ(シソ科)の葉痕です。馬蹄形の形をしています。上部に冬芽がついています。林縁に侵入してくる先駆植物のクサギですが、園内にもたくさん見られます。花の時期は匂いで、実がつくと赤い萼と紫青色の核果で気づくことが多いのですが、冬は、対生の葉痕と若い枝の断面では角が取れた四角形になっているのが特徴的で、すぐに探すことができます。枝が細いと、ちょうどでんでん太鼓のようです。

他にも、カラスザンショウ、オニグルミなど大きな葉痕を持つ植物は、何かを連想させてくれます。花はなくても、葉痕を探し、冬芽を観察するのも森の楽しみです。葉痕の中にある模様は、維管束痕です。葉に特異な匂いがあり、臭木と名付けられましたが、アーモンドのような匂いと不快に思わない人もいて、おもしろいのですが、冬は残念ながら試すことはできません。(か)

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