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サクラ保存林の仲通りの途中から斜面の上方を見上げると、‘椿寒桜’(つばきかんざくら)があります(写真)(標識柱27番付近)。
この個体は1968年に京都の佐野園から導入したものですが、原木は愛媛県松山市の伊予豆比古命神社(いよずひこのみことじんじゃ)(椿神社)にあります。花は紅紫色で一重咲き。長く伸びている多数の雄しべが目立ちます。DNAの分析(Katoら2014)により、カンヒザクラとシナミザクラの影響が強い種間雑種であることが明らかとなっています。
仲通りのこの個体は大きく成長しているため、花を近くで見ることができないのが残念です。園内には、この個体の他に、見返通りにも‘椿寒桜’がありますが(標識柱31番と32番の間)、見返通りの個体は春先に展葉したすぐ後に葉が縮れて褐変してしまう幼果菌核病に罹りやすく、十分に成長できないでいるようです。見返通りの個体はさほど大きな個体ではないため、花が咲けば比較的近くで見られます。(よ)
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