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更新日:2023年11月2日

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令和5年度理事長賞

令和5年11月1日、森林研究・整備機構創立118周年式典において、以下のとおり理事長表彰を行いました。

業績名

光熱費高騰問題への対策に貢献

受賞者

総務部 資産管理課

受賞要旨

令和3年度後半以降、歴史的なエネルギー価格の高騰が生じ、電気料金及びガス料金が大幅な増崇が見込まれ、省エネ・省資源対策推進委員会において、冷暖房設備の稼働時間の短縮や毎日の電気使用量及び料金の見える化(サイボウズ掲示板に掲載)など新たな省エネ対策への取り組みを行うことにより、令和4年度において、電気使用量(料)は△6.7%(平均単価換算で約2,090万円)、ガス使用量は△12.9%(平均単価換算で約1,426万円)と大幅な削減を実現した。また、「施設・設備の効率的利用推進に関するWG」において、特殊空調設備等の現状調査及び稼働削減計画を取りまとめ、令和5年度においても、電気使用量等の削減に取り組むとともに、職員の省エネへの理解増進、今後の施設、設備の集約化や効率的な利用への意識醸成を推進した。

業績名 日本国の森林土壌炭素量の定量とそれにもとづく国際的・国内的アウトリーチ
受賞者

森林土壌炭素インベントリ研究チーム

山下 尚之(立地環境研究領域 主任研究員)
石塚 成宏(企画部 研究企画科長)

橋本 昌司(立地環境研究領域 主任研究員)

今矢 明宏(立地環境研究領域 土壌資源研究室長)

酒井 寿夫(立地環境研究領域 土壌炭素動態モデル担当チーム長)

酒井 佳美(九州支所 地域研究監)

相澤 州平(立地環境研究領域 土壌調査担当チーム長)

稲垣 昌宏(九州支所 土壌環境評価担当チーム長)

稲垣 善之(四国支所 林地保全担当チーム長)

岡本 透(関西支所 森林環境研究グループ長)

小野 賢二(東北支所 立地評価研究担当チーム長)

小林 政広(立地環境研究領域 土壌特性研究室長)

野口 享太郎(立地環境研究領域 養分動態研究室長)

橋本 徹(北海道支所 北方林生態環境担当チーム長)

受賞要旨

森林土壌には樹木の2から3倍程度の炭素が蓄積されており、樹木と同様にそのカーボンニュートラルへの貢献が期待されている。受賞者ら立地環境研究領域を主とするメンバーは、林野庁事業「森林吸収源インベントリ情報整備事業」に17年にわたって携わり、主導的立場で調査方法の構築、調査受託者への指導およびデータの精度管理を行うことにより、日本の森林における土壌炭素蓄積量を国家スケールで明らかにしてきた。また、炭素蓄積量の分布を精緻に推定する手法を開発し、国際連合食料農業機関による全球土壌炭素マップの作成に貢献するとともに、Web上で誰でも簡単に土壌情報を閲覧できる「森林土壌デジタルマップ」を開発した。

業績名

熱帯の森林減少に関する原因解明と解決策の提案

受賞者

宮本 基杖(林業経営・政策研究領域 森林環境政策担当チーム長)

受賞要旨

熱帯の森林減少を防止するには原因理解と適切な対策が必要だが、根本原因となる社会経済要因は特定されていなかった。受賞者は、東南アジアでの実証研究を基に、貧困率が森林面積の変化に強く影響することを示し、貧困が主な根本原因であると特定した。更に、森林減少の発生は貧困率、農業地代、森林率の3要素で決まることを明らかにし、メカニズムの解明に大きく貢献した。解決策として貧困削減が有効かつ持続的と評価し、途上国の貧困率を下げる基盤整備などの具体案を提示した。論文は、引用多数、学会誌アクセス数1位、「貧困」と「森林」のGoogle検索(英語・日本語)1位など、国内外で高い関心を集めた。今では貧困が主な根本原因として広く認識されており、熱帯林減少の原因解明と有効な対策の推進に大きく貢献した。

業績名 積雪および気象の長期観測による雪氷研究や豪雪地域の雪対策への貢献
受賞者

森林防災研究領域 十日町試験地

受賞要旨 十日町試験地は1917年の創設以来、気象観測を継続するとともに、多雪地の環境を活かした雪の様々な観測により雪と森林の研究に大きな役割を果たしてきた。100年以上にわたる観測データは、月ごとにまとめて集計し、定期的に森林総合研究所研究報告として発行し続けてきた。多雪地における長期の積雪データは希少であり、気候変動の影響に関わる研究にも重要である。また、ホームページにて準リアルタイムで提供する毎日の降雪、積雪観測データは、雪対策のための社会的ニーズが高く、地方自治体や一般市民にも広く活用されている。当試験地と大学や民間企業との共同研究も盛んで、観測データは多くの研究に活用され、多雪地に対応した気象観測機器類の開発にも貢献した。
業績名 北海道の林業にも重要な北方林樹木の生命現象の機構解明
受賞者

北尾 光俊(北海道支所 植物土壌系研究グループ長)

受賞要旨

これまで林業関係者に経験的に知られていた上木伐採後のトドマツ前生稚樹枯死の原因が強光ストレスであることを明らかにし、令和2年度の理事長賞をグループの一員として受賞した後も、シラカンバの天然更新が成功する土壌水分の条件、カエデ類の紅葉の役割などの解明に取り組み、科学的根拠に基づいた樹木生理学的な視点からの新たな仮説の提案と検証を行った。
それらの研究成果を発表した原著論文が高い評価を受けたことに加えて、トドマツとシラカンバに関する研究成果は、北海道森林管理局の更新手法の手引きや交付金プロジェクトで作成した施業マニュアルでも取り上げられた。これらの業績により、樹木生理学分野だけでなく北海道における樹木研究や林業技術の進歩に貢献した。

業績名 少花粉スギ品種の早期開発に向けた雄花着生性評価技術の確立
受賞者

スギ雄花着生性調査チーム

田村 明(林木育種センター 育種部育種第二課長)

松下 通也(林木育種センター 育種部育種第二課主任研究員)

栗田 学(林木育種センター 育種部育種第一課長)

加藤 一隆(北海道育種場 育種課長)

井城 泰一(東北育種場 育種課長)

宮下 久哉(関西育種場 主任研究員)

久保田 正裕(九州育種場 育種課長)

受賞要旨

スギ花粉症は、国民の4割が罹患していると言われ、社会的・経済的にも大きな社会問題となっている。従来の方法では、少花粉スギ品種の開発には、複数の試験地の造成から20年以上を要していた。一方、成長の優れたエリートツリーや特定母樹からの少花粉品種の開発について強い要望があることを踏まえ、授賞グループは、5年にわたり17都県の研究機関と協力して調査を行い、ジベレリン処理による相対評価により、複数の採種園等において調査することで、新たな試験地等の造成から概ね5年程度で少花粉スギ品種を開発する手法を開発した。これらの成果は、令和5年3月のスギ花粉発生源対策推進方針の改正に多大な貢献をした。

業績名 チーム東北による地域ニーズに対応した円滑な原種配布の取組
受賞者

東北地区原種配布円滑化推進チーム

笹島 芳信(東北育種場 遺伝資源管理課普及調整専門職)

黒沼 幸樹(東北育種場 遺伝資源管理課増殖保存係長)

増山 真美(林木育種センター 育種部原種課原種生産係長)

成田 有美子(森林総合研究所 総合調整室調整係)

福田 友之(東北育種場 育種技術専門役)

今野 敏彦(東北育種場 連絡調整課庶務係長)

受賞要旨

エリートツリー等への期待が高まる中、原種の生産・配布をいかに円滑に進めるかが重要な課題となっている。このような中、東北育種場の原種配布は、5年前に比べ1.6倍に増加していることに加え、その内の約7割が奥羽増殖保存園からの配布となっている。奥羽増殖保存園の管理は2人体制であることから、受賞者グループは東北育種場を一つのチームとして捉え、担当課以外からも人員の調整を行うことで応援態勢を整備し、増加する原種の配布要望に応えた。また、近年コンテナ苗での原種配布に対するニーズが高まりつつあり、東北の風土に適したコンテナによるさし木苗生産技術の開発など、今後の原種配布を穂木から苗木へ転換するための礎を築いた。

業績名

四国増殖保存園における特定母樹等の原種配布や第3世代の取組

受賞者

関西育種場 四国増殖保存園

受賞要旨

これまで以上に特定母樹等の原種の円滑な生産・配布への期待が高まっている中、四国増殖保存園の原種配布の職員一人当たり配布本数は、全国平均を上回る配布実績を上げている。特に、要望が増えているコンテナ苗による原種配布の増産を実現するため、ガラス温室を利用して、繁忙期である春先の労務分散を図るといった工夫も重ね、新たなニーズへの対応も進めている。さらに、スギ第三世代の育種集団林設定のための試験材料を作出するなど、将来に向けた取り組みにも大きく貢献している。

業績名 群馬県桐生市の山火事跡地の復旧事業における新たな課題への対応とその積極的な広報活動の実施
受賞者

桐生山火事跡地の緑の再生対策チーム

久保田 拓也(水源林業務課長)

鹿内 達善(水源林業務課 基盤整備係長)

坂田 如飛(水源林業務課 造林係主任)

菅原 教夫(前橋水源林整備事務所長)

玉井 幸治(研究ディレクター(国土保全・水資源研究担当))

受賞要旨

第五期中長期計画では、各業務の連携強化、森林整備技術の高度化、水源林造成業務の地域との連携強化を推進するとされている。桐生市の植栽を完了した山火事跡地において、表層崩壊等が一部で見られたため、水源林造成業務と研究開発業務が連携して、航空レーザやUAV等を活用して斜面安定を確認する調査手法をとりまとめたほか、立ち枯れ木が見られる隣接森林において、面的整備を導入して被災リスクの軽減に取り組んだ。また、パンフレットの作成・配布、関係機関との技術交流会での発表、技術情報誌への寄稿により、上記取組の広報を積極的に行い、その結果、地元市報での紹介や外部からの講演依頼等につながった。

写真:令和5年度(2023年)理事長表彰 受賞者
令和5年度(2023年)理事長賞 受賞者

 

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