第64回日本木材学会賞（久保島 吉貴）

久保島 吉貴（森林総合研究所 木材加工・特性研究領域）

「質量付加による木材の共振周波数の低下を利用した振動試験」に関する一連の研究成果が、木材学とそれに関連する分野の進歩に貢献するものとして高く評価された。

木材に集中質量（錘）を付着した場合の打撃音の共振周波数の低下を利用して、質量測定を行わずに試験体質量、密度およびヤング率を推定する方法（質量付加振動法）を提案した。支柱に取り付けられた状態の木製ガードレール横梁の質量を質量付加振動法によって推定できたことから、点検時に横梁を支柱から取り外す工程を省略できる可能性が示された。また、正角の桟積みモデル及び木製ガードレール用丸棒の保管状態の掽積みの場合、桟木の位置や材質の工夫により、質量付加振動法から試験体質量を推定することができた。これは出荷前の不良品の簡便な特定・排除及び製品歩留まりの向上に繋がる。

【受賞対象研究】

1) Kubojima, Y., Sonoda, S.

Measuring Young’s modulus of a wooden bar using longitudinal vibration without measuring its weight.

European Journal of Wood and Wood Products, 73(3), 399-401 (2015). DOI:10.1007/s00107-015-0884-2（外部サイトへリンク）
2) Kubojima, Y., Sonoda, S., Kato, H.

Application of the vibration method with additional mass to timber guardrail beams.

Journal of Wood Science, 64(6), 767-775 (2018). DOI:10.1007/s10086-018-1771-3（外部サイトへリンク）

3) Kubojima, Y., Sonoda, S., Kato, H.
Mass of piled lumber estimated through vibration test.
Journal of Wood Science, 66, Article number: 32 (2020). DOI:10.1186/s10086-020-01880-5（外部サイトへリンク）
4) Kubojima, Y., Sonoda, S., Kato, H.

Mass estimation of piled round bars through vibration tests.

Wood and Fiber Science, 53(3), 216-227 (2021). DOI:10.22382/wfs-2021-21（外部サイトへリンク）