制度と研究成果
森林経営管理制度では、民有林を対象として、制度の適用の可否、経営管理の方法、施業の優先順位など、段階的にさまざまな判断を行います。
それぞれの判断では、森林の状態、経営の見通し、地域の実情など、多様な要素を踏まえる必要があります。そのため、判断の材料となる客観的な情報を効率的かつ的確に把握することが重要になります。
本研究では、こうした判断を支えるために、森林の状況を評価する新たな手法や情報整備の方法を開発しました。
本ページでは、制度の判断の流れに沿って、それぞれの段階でどのような研究成果が活用できるかを示します。
A:制度を適用するか?
市町村は、管内の民有人工林への森林経営管理制度の適用を検討するにあたり、所有者の意向と経営管理の状態を把握する必要があります。
しかし、所有者から経営管理の実態を聞き取ることは容易ではなく、管内の民有人工林すべてについてこれを行うことは、大きな手間と時間を要します。
本研究では、こうした負担を軽減するため、リモートセンシングを用いて、民有人工林の経営管理状態を広域かつ客観的に把握し、地図として表示する技術を開発しました。
詳しく見る:経営管理が行われていない人工林を抽出する
B:林業を継続すべきか?
制度を適用する森林について、林業を継続すべきかどうかを判断する必要があります。
この判断には、林業としての採算性だけでなく、皆伐等の施業により斜面崩壊の危険性が高まるおそれがあるなど、防災上の観点からの検討も含まれます。
本研究では、こうした判断を支援するため、地形情報等を用いて斜面崩壊の危険度を自動的に判定し、その結果を地図として表示する技術を開発しました。
詳しく見る:斜面崩壊危険度を判定する
C:経営管理を再委託するか?
林業を継続する場合には、経営管理を民間事業者に再委託するか、それとも市町村が直接行うかを決める必要があります。この判断は、地域の状況に応じて個別に行われます。
本研究では、この判断が地域において既に行われたことを前提に、市町村が直接経営管理を行う森林について、以降の判断に進みます。
なお、林業を継続しない森林については、すべてを市町村が直接経営管理を行うものとして、以降の判断に進みます。
D:施業の緊急性(管理優先度)
市町村が経営管理を行う森林については、限られた体制の中で、どの森林を優先的に管理・施業すべきかを判断する必要があります。
本研究では、森林被害の危険度が現に高く、かつ施業によってその危険度を低下させる可能性がある森林を、管理優先度が高い森林と捉えています。
その危険度の一つとして、人工林の風害リスクを評価し、施業の緊急性(管理優先度)を検討するための情報を整理しました。
詳しく見る:風害のリスクを評価する
E:施業の選択
市町村が経営管理を行う森林については、林業を継続する森林と、林業の継続を断念した森林とでは将来に目指す目標林型が異なり、さらに管理優先度により当面の対応が変わります。
本研究では、異なる条件のもとでのエビデンスに基づいた施業の選択肢を整理し、市町村による施業の選択を支援する枠組みを示しました。
詳しく見る:管理優先度と施業を判断する
本研究成果の活用にあたって
本研究の成果は、森林経営管理制度における判断の流れに沿って、各段階で参照し得る情報として活用されることを想定しています。制度上の判断そのものを置き換えるものではなく、市町村による判断や説明を支えるための材料として位置づけられます。
全体像をまとめて把握したい場合は、管理優先度の高い民有人工林の抽出と管理のための手引書をご覧ください。
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