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更新日:2010年5月14日

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森林の環境 Q3

  • Q3 : 森林に降った雨水はどこへいくの?
  • A3 :
    ●空に帰る
    森林に降った雨は、すべてが川の水になるわけではありません。植物の葉や枝、落ち葉や枯れ枝などから、そのまま蒸発する雨水があります。いったん地中にしみこんで、ふたたび地面から蒸発する水や、植物の根に吸われて葉から蒸散する水もあります。こうして空に戻っていく水の割合は、日本の森林では平均すると約35%と言われています。
    ●地中にしみこむ
    森林に住む小さな生き物たちは、地面にたまった落ち葉や枯れ枝をゆっくりと土に変えていきます。土の中には、目に見えないほどの小さな穴から、モグラが通るような大きな穴まであります。森林の土に雨がしみこみやすいのは、このように大小様々なすき間が網の目のようつながっているからです。森林の土に水がしみこむ速さは、畑の約3倍、踏み固められたグラウンドなどの土の約20倍と言われています。
    ●地上を流れる
    もちろん、土のない岩肌や踏み固められた地面や川沿いの湿地では、雨は地中にしみこめず、地面の上を流れます。けれども、森林で覆われた自然の斜面では、雨水がそのまま地上を流れることは少ないのです。
    ●地中を流れる
    地中にしみこんだ雨水は、まず小さなすき間にはいり、そこが一杯になると、だんだん大きなすき間に入るようになります。小さなすき間の水はゆっくりとしか動けず、大きな穴の水はずっとすばやく動けます。雨が続き、大きなすき間にも水がたまると、土の中の水は重力に引かれて動き、途中にさえぎるものがなければ、地中深くへと流れて、やがて地下水になります。岩盤や粘土層のように水を通しにくいものがあると、水は真下ではなく斜面に沿って、川に向かって流れていきます。
    ●川に流れ込む
    川面に降った雨はそのまま川を流れ下り、地上や土の中の大きなすき間を流れる水も、数時間から数日のうちに川に流れこみます。一方、小さなすき間の水や地下水はとてもゆっくりと動き、地中に入ってから数週間から数ヶ月、ときには何年もかかって川へ流れこみます。雨が降っても川の水が急には増えず、逆に雨の降らない日が続いても川の水が枯れないのは、このように、まとめて降った雨がいろいろな通り道をいろいろな速さで流れているからなのです。

(水土保全研究領域) 

 降水はどこへ行くのか?
(森林と水、1996)

 

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