今月の自然探訪 > 自然探訪2012年 掲載一覧 > 自然探訪2012年4月 ボルネオ島の泥炭湿地に生えるアラン
更新日:2012年4月1日
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マレー半島からパプアニューギニアにかけての地域は世界で最も多様な熱帯雨林が広がっています。その中に、泥炭湿地の上に生えるアランという木があります。アランは学名をShorea albidaといいます。大きくなると高さが60メートル近くになります。東南アジアでも最も大きくなる木の一つと言えます。
このアランはボルネオ島でもサラワクからブルネイにかけての主に泥炭湿地に生息しています。泥炭とは枯れて湿地に倒れた樹木からできています。湿地ですので、あまり酸化されずに元の形状を比較的保ったまま木材の遺体の積み重なったのが泥炭湿地です。泥炭の厚さは10m以上と言われています。泥炭湿地を歩いているとズボズボと足が泥炭の中に沈んで非常に歩きにくいのです。
泥炭湿地ではアランが大きな木のほとんどを占めています。多様性が高い東南アジアの森林にしては逆に珍しいことです。さらにアランは他のアランと根を絡め合います。非常に柔らかい泥炭ですから、1本だけでは沈んでしまうのでしょう。アラン全体が根を絡めることで沈みにくくしているようです。だから、この絡んだ根の上に乗って飛び跳ねるとアラン林全体が揺れるような気がします。
残念ながらアラン林のように大きな木がまとまって分布していると伐採する側からすると非常に効率良く木材が得られます。そのため、どんどん、このアラン林は面積が減少しています。また、アランはタネを25年に一回しかならさないと言われていますから、一回、伐採されると回復するのは不可能に近いことです。つまり、伐採されると永遠にアラン林は失われることが多いのです。
写真1. アラン林の中を走る道路
写真2. 融合したアランの根
写真3. 伐採中のアラン林
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