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更新日:2013年1月4日

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自然探訪2013年1月 ヘビ

ヘビ

真冬にヘビは季節外れの話題と思われるでしょうが、今年の干支でありますので、お話しいたします。ヘビにもいろいろな種類がいますが、本土のヘビを見てみましょう。よく知られているアオダイショウは、本土では最大のヘビで全長2m以上に達し、木登りが得意で主に鳥やネズミを食べています。一方、ジムグリは名前の通り地上や地中でネズミやモグラを襲います。シマヘビ、ヤマカガシ、ヒバカリは主にカエルを食べるヘビですが、シマヘビは主に中くらいのカエルを食べ、ヤマカガシはそれに加えヒキガエルのような大きなカエルも食べることができます。一方、ヒバカリは小さな子ガエルを食べるなど、餌の大きさが違います。少ない種類として、シロマダラはトカゲを食べ、タカチホヘビはミミズを食べています。また、マムシは、他のヘビと違って、じっと動かない待ち伏せ型のヘビで、近寄ったものを食べます。このようにヘビは餌の種類、大きさ、捕食方法などで、種類毎に異なった暮らしをしていて、森林生態系の中で各種の小動物を食べる中位の捕食者として機能しています。この中で、アオダイショウは人家に暮らすこともでき、ネズミを食べることから、農家の人に大事にされていました。ネコが渡来する以前はより重要だったでしょう。

暖かい琉球列島には更に変わったヘビがいます。例えば、八重山諸島にいるイワサキセダカヘビは樹上性でカタツムリを食べています。右巻きが多いカタツムリの殻から身を取り出して食べるため、歯の数が左右非対称になって右巻きに特化しています。そのため、左巻きの貝は捕食に失敗することが多いので、イワサキセダカヘビのいる地域では左巻きの貝が生き残り、その比率が高くなっているといいます。

最後に奄美・沖縄に住むハブの仲間のヒメハブを紹介しましょう。体形的にはマムシを太くしたような種類で、架空の動物である「つちのこ」にそっくりです。この種類は普段は林床で単独生活をしていますが、カエルの産卵期に、餌を求めて産卵場所に集まってくる習性があります。真冬に産卵するリュウキュウアカガエル、ハナサキガエルの産卵期には、それらのカエルの産卵場である奥深い森林の渓流に多数のヒメハブが集まり、足の踏み場もないほどになります。そういうわけで、真冬とは言え、ヘビの話題は必ずしも季節外れというわけでもないのです。

201301-1ヤマカガシ
写真1:ヤマカガシ

201301-2ヒメハブ 
写真2:ヒメハブ

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