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更新日:2016年10月31日

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自然探訪2016年10月 ブナの冬芽と開花

ブナの冬芽と開花

ブナ林と聞けば誰しも、春の新緑、秋の黄葉の美しさをまず思い浮かべるのではないでしょうか。ブナは、秋には見事に黄葉して古くなった葉を落とし、毎年新しく作り直しています。新しい葉は前年のうちに作られて、冬芽のかたちで長い冬を過ごした後、東北は4月下旬、北海道は5月初旬の頃に一斉に開きます。春先に開いた冬芽には、葉だけが含まれている芽(葉芽)と、花と葉の両方が含まれている芽(混芽)とが混在しています。また、少し時間を遡って、まだ閉じた状態の冬芽をよく観察しますと、時々、枝によって細長い冬芽のかたちと少しふっくらとした冬芽のかたちの違いに気づくことがあります。10~11月頃、冬芽が大きく成長した時期に早々と見分けられる場合もあれば、開花1ヶ月前(3月中旬頃)になってようやく肉眼で見分けられるようになる場合もあり、もちろん開くまで全く見分けがつかない場合もあり、個体差は様々ですが、このぷっくりと太っちょの冬芽の中の、新しい葉の間に、雌雄同株といって雄花と雌花の両方が含まれています(写真)。北海道では葉芽と混芽とはほぼ同時に開いてしまうようですが、東北では、4月初旬〜中旬の頃、混芽のほうが葉芽より1週間から10日ほど先に開くため、容易に見分けることができます。

 

(樹木分子遺伝研究領域 大宮 泰徳)

 

写真:春になって混芽の中から葉、雄花、雌花が展開しているところ
(写真:春になって混芽の中から葉、雄花、雌花が展開しているところ)


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