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更新日:2026年9月1日

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自然探訪2026年9月 日本での分布域を広げる熱帯性のきのこ

日本列島は南北に長く、亜寒帯林から亜熱帯林までいろいろな植生の森林があります。植物の遺体を分解し、植物の根と共生関係にあるきのこは、植生ごとに生育するきのこの種類も異なっています。近年、地球温暖化が進んできたため、これまでは国内で普段目にすることの少なかった熱帯性のきのこを、屋外で普通に見かけることが多くなってきました。

オオシロカラカサタケ(Chrolophyllum molybdites (G. Mey:Fr.) Massee)は、熱帯から亜熱帯に分布するきのこです。日本では1954年に最初の発生報告がありましたが、関東以西で普通に見られるようになったのは近年です。土壌中の腐植質を栄養源にしているきのこで、芝生や草地に生えます。傘の直径や柄の長さが20㎝以上になることも多く(図1)、その大きさ故に遠くからでも見つけることができます。傘の裏のひだは緑色になることが特徴で、属名のChrolophyllumは「緑色のひだ」を意味します(図2)。オオシロカラカサタケや近縁のドクカラカサタケは毒きのことしても知られ、中毒例もあります。

シロコカワキタケ(Pleurotus tuber-regium (Fr.) Singer)は、熱帯から亜熱帯に分布するきのこです。倒木や枯れ木などに発生しますが、直径20cmに達する菌核(芋状の塊)を作り、菌核から発生することもあることから、ナンヨウブクリョウとも呼ばれます。漏斗型のきのこで、やや細い柄(え)があり、肉は革のように硬いのが特徴です。その形態や生態からカワキタケのなかまとされてきましたが、実はヒラタケのなかまであることがわかりました。シロコカワキタケは1914年に初めて日本での発生が報告されましたが、報告例が少なく、鹿児島県と宮崎県での発生が知られていただけでした。写真のシロコカワキタケは、2024年に東京都八王子市で発生していたのを見つけたときのものです(図3、4)。あまり知られていないきのこですが、既に日本各地で発生している可能性があります。

そのほか、熱帯性のきのこの中には、大きさが巨大なことで、時々、新聞やニュースで取り上げられるものが多くなりました。例えば、ニオウシメジ(仁王しめじ)(Macrocybe gigantea (Massee) Pegler & Lodge)など、近年になってから日本でも見られるようになったきのこがあります。しかし一方で、きのこの分類研究が不十分なせいで、その存在が知られないまま、いつの間にか分布域を広げている熱帯性きのこは案外多いのかもしれません。

(森林研究・整備機構フェロー 根田 仁)


図1。草地に生えたオオシロカラカサタケ。傘の直径は20cmに達することもある大型のきのこです。(2024年9月5日、我孫子市にて撮影)
図1. 草地に生えたオオシロカラカサタケの傘(2024年9月5日、我孫子市)
 

図2。オオシロカラカサタケの傘の裏にあるひだは、成熟すると緑色になることが特徴です。細長い柄(え)には、つばがあります。(2024年9月5日、我孫子市にて撮影)
図2. オオシロカラカサタケの緑色のひだと、つばのある細長い柄(2024年9月5日、我孫子市)

図3。広葉樹の枯れ木に生えたシロコカワキタケ。全体は白色から淡褐色で、成熟すると漏斗状の傘の中央は少しくぼみ、周辺部は波うつことがあります。(2024年7月20日、八王子市にて撮影)
図3. 倒木上に生えたシロコカワキタケ(2024年7月20日、八王子市)
 

図4。シロコカワキタケのひだはとても密で淡褐色です。柄(え)は傘の中心につきますが、中心から少しずれることもあります。(2024年7月20日、八王子市にて撮影)
図4. シロコカワキタケの傘の裏のひだと柄(2024年7月20日、八王子市)

 

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