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更新日:2010年5月14日

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森林の生き物 Q8

  • Q8 : 近所のマツが松枯れでどんどん減っていきます。家の庭のマツを守るにはどうすればよいでしょうか?
  • A8 :  いわゆる松枯れというのは、マツノザイセンチュウという1mmにもみたない微少な生物がマツの樹体内に侵入することによって引き起こされます。この生物は自分では他の木に伝染することができませんが、マツノマダラカミキリという昆虫の体内にもぐりこみ、枯れたマツから健全なマツへと移動します。家の周りに松くい虫で枯れたマツがあると、そこからセンチュウをたっぷり宿したカミキリムシが6~7月ころに庭に飛んできて、樹の表面をかじるおそれがあります。マツノザイセンチュウはこのかじった傷口からマツに侵入するのです。そこで庭のマツを松枯れから救うには、1)マツノマダラカミキリの飛来を防ぐ、または2)樹の中にマツノザイセンチュウが入ってもそれが生きていけないようにする、という二つの方法が考えられます。じっさいには1は難しいと思われます。マツノマダラカミキリが好きな臭いを出す物質が開発されており、これを野外に掛けておくと多くのカミキリが捕獲できますが、一網打尽というわけにはいきません。そこで、庭の樹のように少数の樹を保護するには、樹冠注入剤というセンチュウを殺す薬剤を用いることをおすすめします。カミキリが飛来する前に(「前に」というのが大事です)、この薬を点滴よろしくマツに注入しておくと、万一センチュウが侵入しても樹体内で死ぬため、かなりの確率で枯死を免れることができます。予防薬というわけです。
  • (森林昆虫研究領域)

マツノマダラカミキリの体内にいるマツノザイセンチュウ

樹皮を食害中のマツノマダラカミキリ

マツノマダラカミキリの体内にいる
マツノザイセンチュウ

樹皮を食害中のマツノマダラカミキリ

 

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