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更新日:2010年5月14日

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森林の生き物 Q9

  • Q9 : 新築した家の建材に針で突いたようは小さな孔がたくさん開いて、虫が出てきました。細かい木くずも下に落ちています。食い荒らされて家が壊れないか心配です。
  • A9 :  ヒラタキクイムシの仲間です。孔と木くずは、5~7月ころ、虫が親になって材の中から脱出してきたときの名残です。この昆虫は家屋の乾材害虫として世界で最も有名なもののひとつです。「乾材害虫」というのは、文字通り乾燥した木材の辺材部(幹の周囲の部分)を好んで食害する昆虫です。ヒラタキクイムシはいわゆるラワン材でとくに被害が激しいですが、そのほかにもさまざまな広葉樹を加害します。新築後1~2年の家で被害が多いのは、年1世代だからです。つまり建材の段階ですでに加害されており、家の竣工後にそれが親になって脱出してきたわけです。脱出後に交尾した雌は、主に夜間、木材表面の導管内に新たに産卵し、被害が拡大することになります。しかし材が古くなってくると餌としては不適となり、新たな被害はなくなります。ひどく加害された材は内部の空洞が目立ち強度的にも弱くなるので、工務店等と相談の上、そうした被害材は取り除き、新しいものと交換するのがベストですが、とにかく虫が出てきてからでは面倒です。しっかり防虫加工のされた建材を使うことが大事です。なおヒラタキクイムシと姿形のよく似た虫にコクヌストモドキがいます。こちらは穀類を加害する貯穀害虫として有名ですが、木材を加害することはありません。コクヌストモドキが大量に発生したなら、台所の米や粉類を点検してください。
  • (森林昆虫研究領域)

 

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