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野球用バットの素材となるアオダモは、両性個体と雄個体が見られる特異な樹木であり、集団の交配様式と集団遺伝構造を調べた。その結果、両性個体は他家花粉と自家花粉の両方で種子を作るが、自家受粉由来の個体は死にやすいうえに、既往の理論では説明できない高い雄個体比をもっていることが判った。
森林生態系におけるCO2動態の解明に重要な林床面CO2放出量評価のため、落葉広葉樹林内において自動開閉型チャンバを用いた長期連続測定を行い、林床面CO2放出量と環境因子との関係を明らかにした。
湿雪雪崩の発生条件を解明するために、積雪のせん断強度、密度および含水率の測定を行った。その結果、積雪がある面に沿ってずれることに抵抗するせん断強度は、乾き密度のべき乗に比例して増加すること、ならびに体積含水率の増加と共に指数関数的に減少することが判った。
林内微気象データから、林床可燃物の含水率を予測するモデルを開発した。京都府南部の常緑・落葉樹混交林と落葉広葉樹林を対象にモデルの検証を行った結果、林相ごとに予測することが可能となった。
精細な計測が可能なヘリコプターからのレーザー計測により、スギ人工林における立木本数および各立木の樹高、広葉樹林における林冠の階層構造を把握する手法を開発した。
茨城県七会村ほか1地区の植生図を作成してGIS化し、森林の分断度指標を定量的に求めた。その結果、人為インパクトにより天然林や、人工林がどのように分断化されているかを定量的に評価することが可能となった。
既存の統計資料や地形モデルを地理情報システム(GIS)上で統合的に取り扱うことにより、四国全島といった広域における森林資源の推移を視覚的に表現し、森林が地形条件や人口の移り変わりとともにどのように推移したかを明らかにした。
最新の林業統計を利用して、日本の森林による炭素蓄積量および炭素吸収量の推定を行い、その分布図を作成した。
林業統計と地理情報システムを利用してわが国の森林で落ち葉等の堆積有機物がどのくらい炭素を蓄積しているか推定し、その分布様式を図化した。
ブナ林の分布やスギ人工林の活力度に影響する気候要因を特定し、温暖化気候シナリオに基づいて、温暖化後の適地の変化を予測した。温暖化に対し脆弱であって、今後不適地となる可能性がある地域がそれぞれ特定できた。
急傾斜地での森林作業の機械化を図るため、傾斜±45度の斜面を登降坂し、傾斜30度までの斜面においてグラップルクレーン作業を行うことができるモノレール式の軌条形ベースマシンを開発した。
「スギ花粉飛散予報」には雄花開花時期の予測が不可欠である。そこで、雄花の発育過程に基づいた「開花時期予測モデル」を開発した。過去の開花データを用いて検証した結果、このモデルはスギ雄花の開花時期を概ね良い精度で予測できることが確認された。
ケナガコナダニがきのこ菌床栽培培地に害菌を運び込むことを確認した。ケナガコナダニやサジボウヒナダニなど害菌を伝搬するダニは、ジャガイモ・糖・寒天培地トラップでモニタリングすることが可能である。
結晶ではないが、グルカン鎖の良好な配向を有するセルロースの新しい分子集合構造を創製するとともに、構造形成のためには配向制御が重要であることを提案した。
バクテリア・セルロースは高付加価値の産業用素材であり、その糖質原料は廃糖蜜、デンプン粕などグルコースやフルクトースを構成糖とする糖質に限ると考えられていたが、低価格で大量に供給可能な木質系廃棄物も対象になり得ることが分かった。
厚物合板を利用する在来構法用床構造の設計法を開発した。実験の結果、耐震性、遮音性及び局部集中荷重に対する強度に優れていることを実証した。
植物の必須元素であるホウ素は、細胞壁の中のペクチンを架橋している。ホウ素が欠乏するとペクチンの架橋が起こらないので、組織は脆くなるなど、ホウ素の生理学的役割を明らかにした。
地域材による家造り運動は、国産材需要拡大策として可能性がある。この運動で消費される木材の量は限られているものの、需要拡大策に多様性を持たせ、小・零細規模の業者に適した方策であるという点で重要な取り組みである。
2000年世界農林業センサスおよび既存統計により全国動向を分析した結果、素材生産業者において規模の拡大、事業範囲の広域化、請負化の進展、高性能林業機械の普及、生産性向上の停滞等が明らかになった。
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